Ruby on Railsは、迅速なウェブアプリケーション開発を可能にするフレームワークです。Web（ウェブ）サイトをはじめ、SNS開発やECサイト構築など、多様な開発に採用されています。今回は、Ruby on Railsを使ってできることをはじめ、具体的な開発事例、得意とする分野と苦手な分野、そして学ぶ方法についても詳しく解説します。
Ruby on railsとは
Ruby on Railsは、プログラミング言語であるRubyで構築されたオープンソースのWeb（ウェブ）アプリケーションフレームワークです。フレームワークとは、Webアプリケーションの開発に必要な基本機能を提供する土台のことを指します。
Ruby on Rails を使えば、ログイン機能やデータベースの操作、セキュリティ対策などの複雑な処理を簡単に実装できるため、エンジニアは効率的な開発が可能になるのです。
開発にスピード感が求められ、仕様変更の多いWebアプリの開発にも柔軟に対応できるため、幅広いプロジェクトで利用されています。
Ruby on railsで何ができる？
まずは、具体的にRuby on Railsでできることを確認しておきましょう。
ECサイトの構築
Ruby on Railsは、ECサイト構築において非常に優れたフレームワークです。
ECサイトにはログイン機能や決済機能、カート機能などが搭載されていますが、これらを一からRubyで実装していくとなると、かなり時間と労力がかかります。
しかし、Ruby on Railsの専用パッケージを利用すれば、これらを簡単に実装することができるため、開発期間を大幅に縮められます。
Webスクレイピング
Ruby on Railsを利用すると、Webスクレイピングの実装がとても簡単になります。Webスクレイピングとは、WEBサイトの中から必要な情報だけを自動的に抽出する技術です。例えばECサイトの会員情報から、電話番号やメールアドレスなどの情報を抽出することがこれにあたります。
Ruby on Railsには、Webスクレイピングを簡単に実現するためのパッケージ(※)が豊富に揃っています。Webスクレイピングが簡単にできるようになれば、手動で時間がかかっていたデータ収集作業を自動化し、業務効率化が図れるようになるでしょう。
※パッケージ：似ている機能をライブラリの中でまとめたもの
Webアプリケーションの開発
Ruby on Railsは、Webアプリケーションフレームワークであるため、Webアプリケーション開発全般を得意としています。
国内外で積極的にRuby on Railsを使ったWebアプリケーションが開発されています。
SNSの構築
Ruby on Railsを利用すると、初心者でもSNSで重要なテキストや画像を投稿する機能、ユーザー登録やログイン機能を簡単に実装できます。
データベースを連携すれば、投稿データの保存やユーザー情報の管理も簡単に行うことが可能です。
業務システムの開発
Ruby on Railsは、さまざまな業務システムを開発するのにも適しています。例えば、勤怠管理や入退室管理、スケジュール共有など、企業の日常業務を効率化するためのWebシステムを簡単に構築することが可能です。
Ruby on railsができない・苦手なことは？
上記から、Ruby on Railsはさまざまなプログラム開発に長けていることが伺えますが、一方で高速な処理や大規模データを扱う分野には向いていません。AI・機械学習、統計解析、スマートフォンアプリ開発、3Dゲーム開発などの分野では、ほかの技術やフレームワークのほうが適しています。
これらの分野は、高度な計算能力やリアルタイムの処理が求められるため、Ruby on Railsのパフォーマンスでは不十分です。
例えば、AIや機械学習は膨大なデータセットを扱い高速な計算を必要とするため、一般的にPythonやTensorFlowなどが用いられます。同様に、統計解析には専用のツールやR言語、スマートフォンアプリ開発にはSwiftやKotlin、3Dゲーム開発にはUnityやUnreal Engineが適しています。
Ruby on Railsの開発事例
Ruby on Railsは、優れた開発効率と柔軟性から、誰でも一度は使ったことのあるWebサービスや見聞きしたことのあるWebサービスでも採用されています。日本国内の代表的な事例を見ていきましょう。
・クックパッド
ユーザーが投稿したレシピを検索、保存、共有することができるレシピ共有サービスです。クックパットはWebサイト全体をRuby on Railsで構築しています。
・クラウドワークス
フリーランスとクライアントをつなぐ仕事依頼サイトで、プロジェクトの管理や報酬のやり取りがスムーズに行えます。クラウドワークスでは一部機能のシステム開発としてRuby on Railsが採用されています。
・食べログ
レストランや飲食店のレビューサイトで、ユーザーは店舗の情報を検索し、口コミや評価を投稿できるサイトです。食べログもクックパッド同様、サイト全体をRuby on Railsで構築しています。
・グノシー
ユーザーに最適化されたニュースや記事を提供するニュースポータルサイトです。グノシーの管理画面はRuby on Railsで構築されています。
Ruby on Railsが注目されている理由
多くのエンジニアが、Ruby on Railsに注目している理由は、下記の2つです。
初心者でも学びやすい
Ruby on Railsが注目されている理由のひとつは、初心者でも学びやすい点にあります。Rubyは、日本生まれのプログラミング言語なので、日本語教材やエンジニアによる参考記事が豊富です。そのため、英語が苦手な学習者でも学びやすい環境が整っています。
また、Ruby on Railsを使えば、従来のRubyで記述するよりも少ないコード量でWebアプリケーションを構築できるため、初心者でもスムーズに開発を進められるのです。
簡潔で読みやすいコードを書けるため、プログラミングの基本を学びながら実践的なスキルを身に付けられるでしょう。
案件数が多く単価が高い
Ruby on Railsが注目される2つ目の理由は、需要と報酬が高いことです。Ruby on Railsのスキルを必須とする案件は、非常に多く見られ、市場で高く評価されています。
多くの企業が効率的なWebアプリケーション開発を求めており、そのための技術としてRuby on Railsが選ばれているのが、需要が高い理由です。実際に、フリーランスhubにおけるアプリ開発案件のうち、Ruby on Railsの案件数は約1,600件あります。ほかのフレームワークと比較すると、Angularで約750件、Djangoで約90件という結果でした。（2024年8月時点）
さらに、Ruby on Railsを使用する案件は、比較的単価が高い傾向があり、フリーランスやエンジニアにとって魅力的な選択肢といえます。平均月額単価はスキルによっても差がありますが、およそ80万円です。
Ruby on Railsを習得すれば、より多くの仕事機会と高い収入を得られるため、エンジニアに注目されています。
Ruby on railsを学ぶ方法
Ruby on railsを学ぶ方法は、大きくわけて3つです。費用を含め、自分に合った方法を十分に検討し、効果的に無理なく学習しましょう。
書籍を参照する
独学でRuby on railsを網羅的に学ぶなら、書籍を使った方法がおすすめです。Ruby on Railsは、とても人気のあるフレームワークなので、初心者向けから実務経験者向けまで、幅広いレベルに対応した書籍が数多く出版されています。初心者は、基礎からしっかりと学べる入門書を選ぶことが重要です。
事前知識がなくても理解しやすい書籍を選ぶなら、下記のチェックポイントを押さえておきましょう。
・説明が詳しくわかりやすいか
・イラストや図が豊富か
・サンプルコードがたくさん掲載されているか
など
基礎を習得できたら、レベルに合わせて書籍を選ぶことで、より専門的な内容を深く掘り下げられます。
しかし、書籍の場合は、情報が古い可能性があることや、つまずいたときに自力で解決するのが難しいという問題も起こるのがデメリットです。
オンラインサービスを活用する
インターネット上にある、学習サイトを利用すれば、基本的な文法や概念を効率的に学べます。有料の学習サイトだけでなく、無料で基本的な知識やスキルを学べるWebサイトも数多く存在するので、費用をかけずに学びたい方にもおすすめです。
よりスキルを向上させたい場合は、有料サービスも検討してみましょう。時間や場所を問わず、自分のペースで学習を進められます。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールでは、経験豊富な講師から直接知識やスキルを学ぶことができ、短期間で集中的に学習を進められます。講師は現場での実務経験を持っていることが多く、カリキュラム外のリアルな話やテクニックも教えてくれるため、実践的なスキルが身に付くでしょう。
また、スクールによってはメンター制度があります。メンターは、学習の進捗管理や個別の質問対応を行ってくれるため、独学では解決しにくい問題にも迅速に対応してくれるのです。
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