フルスタックエンジニアとは、システム開発・Web開発において、要件定義や設計からサービスリリースまでのすべての業務に関わるエンジニアのことです。
分野を問わず、すべての分野をマルチでこなせる技術や知識を持っています。具体的にどれだけの年収を得られるか気になる方もいるのではないでしょうか。
今回は、フルスタックエンジニアの年収相場や案件例、フルスタックエンジニアになるまでのロードマップなどを解説します。
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フルスタックエンジニアの年収相場
フルスタックエンジニアの年収相場は500万〜1,000万円といわれています。
フルスタックエンジニアという呼称に明確な定義はなく、正確な平均年収を算出するのは困難です。しかし、ITエンジニアの平均年収の具体的な数値を算出することはできます。
例えば経済産業省の調査によると、IT関連の職種の年収相場は下記の通りです。
・レベル1(仕事に慣れ始めた新人・初級者レベル):437.8万円
・レベル2(上位者の指導のもとで仕事ができる若手人材レベル):499.2万円
・レベル3(独立して仕事ができる中堅人材レベル):576万円
・レベル4(部下を指導できるチームリーダーレベル):726.1万円
・レベル5(社内での指導者・幹部レベル):937.8万円
参照:「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(経済産業省)
フルスタッフエンジニアは、上記のレベル3~5に該当する職種のため、この相場から考えると580万〜930万円となります。
フルスタックエンジニアの案件と単価例
ここからは、フルスタックエンジニアの実際の案件と単価例について紹介します。
初級向け案件:月額50~60万
初級向けの案件では、例えば大手求人サイトの大規模リニューアルプロジェクトに従事するフルスタックエンジニアの募集があります。
技術環境としてJava/JavaScript、SpringBoot/Nuxt.js、MySQLなどが使用されます。JavaによるWeb開発経験3年以上、実装経験があると優遇されやすいでしょう。
また、30名ほどのチーム体制にもなるとコミュニケーション能力も求められます。
フルスタックエンジニア自体が「独立して仕事ができる中堅人材レベル」とされているため、初級向け案件でも月額単価50万〜60万と高水準の単価を期待できます。
中級向け案件:月額80万円
中級向け案件では、例えばIT人材向けプラットフォームのSaaSプロダクトの開発を行うフルスタックエンジニアの募集があります。
Ruby on RailsとJavaScript、CoffeeScriptを使ったWebアプリケーションの開発などがあり、フロントエンドからバックエンド全般を一貫して担当するイメージです。
Web開発3年以上、Ruby on Railsでの開発1年以上、コードレビューなどの経験があると優遇されやすいでしょう。
コードレビューのようにフィードバックの役割も求められますが、月額80万円という高単価が魅力の案件です。
上級向け案件:月額100万円
上級向け案件では、例えば放送局の同時配信サービス開発プロジェクトでのフルスタックエンジニアの募集があります。
Reactによるフロントエンド開発、PythonのFastAPIを使ったサーバーサイド開発などが行われます。大規模開発の場合、上流工程から関わることもあるでしょう。
Reactを使ったフロントエンド経験2年以上、Pythonでのサーバーサイド開発、詳細設計からリリースまでの一連の開発などの経験があると優遇されやすい案件です。さらに、チーム開発・ドキュメント作成やリーダー経験、コミュニケーション能力があれば望ましいとされています。
報酬月額100万円以上とかなりの高単価が期待できる点が大きな魅力です。
高収入なフルスタックエンジニアに求められるスキル・経験
フルスタックエンジニアには幅広いプログラミング言語の知識やミドルウェア、OSのスキルが求められますが、企業に求められる人材になるにはほかにも必要なスキル・経験があります。
上流工程の経験
フルスタックエンジニアには、単なるコーディングスキルだけでなく、システム開発の上流工程を担える能力が求められます。
上流工程とは、要件定義、機能定義、構成管理、プロジェクト計画立案などの開発初期段階の作業を指します。このような上流工程の経験を積むことで、より高い評価を受けることが可能です。
上流工程を遂行するためには、下流工程におけるプログラミングやテストなどの実務経験が助けとなります。実際にコーディングを行い課題に直面してきた経験があれば、技術的な視点から機能要件を見極めたり、開発計画を立案したりすることが可能になるのです。
分析力
フルスタックエンジニアには、卓越した分析力も求められます。上流工程の業務を担う際や、テストの結果次第で、問題の原因を特定する必要が生じるためです。
上流工程では、クライアントとのコミュニケーションを通じて要件定義を行います。この際、クライアントが求めるシステムの機能や目的を的確に捉え、課題を分析する力が不可欠となります。
また、テストで想定外の結果が出たり、システムの不具合が発生したりするケースにも、迅速かつ正確な原因分析が求められます。
技術力はもちろんのこと、要件や課題を的確に分析する力が重要なスキルとなるのです。
コミュニケーション能力
フルスタックエンジニアに求められるのは、技術力だけではありません。プロジェクトを成功に導くためには、優れたコミュニケーション能力も欠かせないのです。
ユーザーのニーズに沿った機能を提供するため、エンジニアはクライアント側とヒアリングを重ねる必要があります。プロジェクトの目標や要件が不明確な場合、ヒアリングによって要件を明確化していくのです。
また、プロジェクトにはさまざまな関係者が関与します。開発チームのメンバー間でも、常に情報を共有し、連携を密にする必要があります。
クライアントや開発チームメンバーとのスムーズな意思疎通を図ることで、プロジェクトの成功に貢献できるかが問われるでしょう。
資料作成のスキル
フルスタックエンジニアに求められるスキルのひとつに、資料作成スキルがあげられます。
フルスタックエンジニアは、システム開発の上流工程である企画立案や要件定義、基本設計などの業務にも携わる機会があるでしょう。特に基本設計の段階では、後工程のエンジニアが理解しやすいよう、わかりやすい設計書の作成が求められます。
この際、優れた文章力と図表を正確に描写する能力が問われます。設計書は開発の基礎となる重要な資料となるため、内容を的確に表現するための資料作成スキルが必須とされるのです。
高収入なフルスタックエンジニアになるためのロードマップ
フルスタックエンジニアとして高収入を得られるようになるまでの道のりを紹介します。
基礎的な知識・スキルを身に付ける
高収入のフルスタックエンジニアを目指すためには、まずシステム開発の下流工程から実務経験を積む必要があります。
下流工程では、設計書に基づきフロントエンド・バックエンドの両面でコーディングやテストを行います。この過程でプログラミングスキル、データベース、ネットワークなど、開発の基礎を身に付けられるでしょう。
下流工程を通して、システム開発に欠かせない基礎知識・スキルを幅広く習得し、次のステップに進んでいきます。
クラウドサービスやOSに関するスキルを習得する
次のステップでは、クラウドサービスやOSに関する専門知識とスキルを身に付けます。
近年、システム基盤としてクラウドサービスが広く利用されるようになりました。AWS、Azure、GCPなどに精通していることが、エンジニアに求められるスキルとなっています。それぞれのサービスの特徴を理解し、システムの規模や用途に応じて最適なサービスを選択できる知見が不可欠です。
また、OSについてはLinuxが普及しています。基本的なコマンドはもちろん、サーバ構築や運用管理などのスキルを持つエンジニアが高く評価されるでしょう。
上流工程を経験して幅広いスキルを磨く
フルスタックエンジニアとして高収入を得るには、上流工程の経験を積み、幅広いスキルを身に付ける必要があります。
例えばクライアントとの打ち合わせや予算調整などを行うためのコミュニケーション力や、プロジェクト管理能力が問われます。また、設計書作成では文章力や図解力も重要です。
総合的なスキルを高めることがフルスタックエンジニアには欠かせません。
まとめ
フルスタックエンジニアの年収相場は500万〜1,000万円で、初級から上級まで幅広い案件があります。高収入を得るためには、上流工程の経験、分析力、コミュニケーション能力、資料作成など幅広いスキルが求められます。
基礎知識を身に付け、クラウドサービスやOSのスキルを習得し、上流工程で幅広い能力を磨くといったように、段階を経てスキルアップしていくことが必要です。
フルスタックエンジニアは、システム開発全般に関わる高度な技術力と総合的なスキルが必要とされる、やりがいのある職種といえるでしょう。