エンジニア不足が叫ばれる昨今、企業が本当に求めているIT人材はどのようなスキルや特性を持っているのでしょうか。現代のIT業界では、技術力だけでなく、業務知識やコミュニケーション能力も重要視されています。今回は、エンジニア不足の状況や企業が求める具体的なIT人材像、必要とされるスキルなどについて詳しく解説します。
ITエンジニア不足は嘘?採用市場における実態
経済産業省のデータによれば、2025年には約43万人、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると試算されています。しかし、採用市場において、IT人材の不足状況と実態が異なると感じた方もいるのではないでしょうか。
ITエンジニアは実際に不足しているのかをテーマに、不足感の正体を紐解きながら解説します。
出典:経済産業省「- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」
求人倍率は高い
厚生労働省が発表した令和6年4月の一般職業紹介状況によると、情報処理・通信技術者の新規求人倍率(パート含む。以下、同)は2.58倍、有効求人倍率は1.52倍と非常に高い水準を示しています。全職業の新規求人倍率1.46倍、有効求人倍率1.08倍と比較すると、ITエンジニアは他の多くの職業よりも著しく不足していることがわかります。
さらに、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、IT人材の入職は2019年にピークを迎え、それ以降は人口減少にともない減少していく可能性が示されました。このため、求人倍率は今後も高水準を維持すると考えられます。
出典:
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年4月)」
経済産業省「IT人材需給に関する調査」
Web系エンジニア・プログラマーは飽和している
比較的参入しやすいWeb(ウェブ)系エンジニアやプログラマーは、プログラミングブームも相まって多くのエンジニアが活躍しています。その結果、従来型のエンジニア市場はある程度飽和状態にあります。
一方で、先端技術に対応できるエンジニアの需要は急増しているのが現状です。例えば、AIや機械学習、ブロックチェーン技術を扱えるエンジニアは高い市場価値を持っています。新しい技術と専門知識を持つエンジニアの数は限られているため、企業は高い報酬を提示してでも優秀な人材を確保しようとします。
このように先端技術に対応できるエンジニアが高収入になることで、従来型のエンジニアの収入は相対的に低くなっているのが現在の採用市場の状況です。
なお、近年需要が高まっているプログラミング言語について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
関連記事:【2024年最新】将来性の高いプログラミング言語12選 !
優秀なITエンジニアの獲得競争が起きている
先端IT人材や高い付加価値を持つIT人材の不足が深刻化しており、優秀なエンジニアの獲得競争が激化しています。
例えば、AIやデータサイエンスの分野では、専門的なスキルを持つエンジニアの数が限られているため、人材を確保するために高報酬や魅力的な福利厚生を提示しています。
また、スタートアップ企業でも優秀なエンジニアを確保するためにストックオプションや家賃補助制度を導入するケースが増えているなど、大手企業や外資系企業でなくとも高収入の実現が可能な状況です。
市場価値の高いITエンジニアとは?
今後、市場価値が高まりそうなエンジニアの分野や特性について紹介します。
継続的に需要がある分野で活躍できる
社会インフラを支えるネットワーク・通信分野のITエンジニアには、継続的な需要が見込めます。例えば、5Gの普及にともない、通信インフラの整備やメンテナンスを行うエンジニアの需要が増加しています。通信プロトコルやネットワーク構築に精通したITエンジニアの市場価値はますます高まるでしょう。
なお、インフラエンジニアでは「Cisco」「NetApp」などの製品に関する知識や、LAN・ルータなどの知識が必要です。プログラミング言語の習得は必須ではありませんが、キャリアの方向性によって習得を目指す方もいます。
また、セキュリティ分野のITエンジニアもサイバー攻撃の巧妙化やIoT技術の発展にともない、需要が高まり続けると考えられます。例えば、多層防御システムやリアルタイムでの脅威検知システムなどの技術があります。
将来性の高い分野で活躍できる
将来性の高い分野で活躍できるITエンジニアは、しばらくは需要が高い状況が続くでしょう。
クラウド分野のITエンジニアは、既存のオンプレミスシステム(サーバーやネットワーク機器などを自社で保有する利用形態)をAWSやAzureといったクラウドプラットフォームに移行するプロジェクトを進めることが可能です。オンプレミスからクラウドへ移行する企業が増加しているため、クラウド分野のITエンジニアの需要は高い状況が続くでしょう。
また、スマートフォンゲームの急成長により、ゲーム開発エンジニアの需要が急増しています。次々と新しいタイトルをリリースするために、多くのプログラマーやデザイナーを募集しています。
さらに、AIや機械学習の分野は、業界全体で応用が期待されているため、将来性が非常に高いといえるでしょう。また、データサイエンス分野はビッグデータを扱えるITエンジニアのニーズが高く、特に高度な数学や統計学の知識を持つ人材は母数が少ないため、確保が難しいとされています。
マネジメントスキルが高い
ITエンジニアとしての技術スキルに加え、マネジメントスキルを持つエンジニアは高く評価されます。部門やプロジェクトの責任者としてチームを統括するためには、進捗管理、予算管理、要員管理、リスク管理、品質管理など多岐にわたるマネジメント能力が必要です。
これらのスキルと経験を持つエンジニアは高報酬で迎えられ、重要なポジションに就けることが期待できます。
上流工程のスキル・知識がある
要件定義や設計といったプロジェクトの基盤を構築する上流工程の経験は、マネジメント職への道を開く鍵となります。上流工程のスキルを持つエンジニアは、プロジェクトマネージャーとしての役割も期待され、組織内で高い評価を受けることが多いでしょう。
また、上流工程に精通していることにより、プロジェクトの初期段階からクライアントとの信頼関係を築きやすくなり、結果としてプロジェクトの成功率が高まります。
採用市場で求められるITエンジニアをめざす方法
ここでは、より価値あるITエンジニアをめざすための方法を紹介します。
複数の強みを磨く
ひとつの分野で高い技術や経験を得た後は、周辺領域の技術も獲得することを心がけましょう。例えば、Web開発に精通したエンジニアがデータベース管理やネットワーク構築のスキルを習得することで、評価が一層高まります。
需要があるプログラミング言語を2〜3つ習得しており、フロントエンドとバックエンドの両方に対応できるスキルセットを持つエンジニアも企業にとって貴重な人材です。
ポータブルスキルを持つ
業種や職種を問わず幅広く役立つポータブルスキルを身に付けることも重要です。思考力、プレゼンスキル、コミュニケーションスキル、問題解決力、交渉力などのスキルは、エンジニアとしての技術力を補完し、より上位の職種を目指す上で必要不可欠です。
例えば、プロジェクトマネージャーを目指す場合、技術的な知識だけでなく、チームをまとめるリーダーシップや効果的なプレゼンテーションを行う能力が求められます。
先端技術を学ぶ
先端技術を学ぶことは、ITエンジニアとしての市場価値を高めることに直結します。近年、古いシステムの入れ替えや先端IT人材の育成といった対策の必要性が叫ばれています。そのため、古いシステムを新しい技術に移行するためのDX(デジタルトランスフォーメーション)人材を求めているのが現状です。
さらに、AIや機械学習、IoTなどの先端技術を習得することで、市場価値を一層高めることができます。例えば、自動車産業では、AIを活用した自動運転技術の開発が進んでおり、先端技術に対応できるエンジニアは高い需要があります。
このように、古いシステムにも通じながら先端技術も獲得したDX人材は、今後ますます重宝されるでしょう。
求められる人材をめざすならプログラミングスクールへ
需要が高いITエンジニアを目指すなら、プログラミングスクールでの学習もひとつの方法です。例えば、NINJA CODEでは現役エンジニアがメンターのため、実務で求められる技術を学ぶことができます。キャリアの棚卸しからポートフォリオの添削、面接対策、転職先の紹介まで可能な転職支援コースもご用意しております。
まずは無料メンター相談を利用して、具体的なキャリアプランを考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
エンジニア不足が指摘されている現在、企業に求められるのは単なる技術力だけでなく、業務知識やコミュニケーション能力を備えたIT人材です。特に高度な技術を持つエンジニアや、マネジメント能力を併せ持つ人材は高い市場価値を認められています。
将来的には、AIや機械学習などの先端技術を扱えるエンジニアの需要がさらに高まるでしょう。技術の多様化とともに、多岐にわたるスキルを身に付け、柔軟に対応できるITエンジニアを目指しましょう。
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