「IT業界で働きたい」「手に職をつけたい」と思っても、プログラミングは難しそうだと一歩踏み出せずにいる方は多いでしょう。
そこでおすすめなのが、Rubyというプログラミング言語です。Rubyは記述量が少なく、日本語での解説記事や学習本が多いなどの特徴から比較的習得しやすいため、初心者におすすめの言語です。
Webサイトやスマホアプリなど、さまざまなシステムやサービスの開発に使えるのも特徴です。Webエンジニアとして活躍したい方は、初めて学ぶ言語としてRubyを検討してみてはいかがでしょうか。
Rubyで作れるものや基礎知識、初心者の勉強法をわかりやすく解説します。
Ruby初心者が作れるもの
Rubyは、アプリやWEB(ウェブ)サービスなどの開発に使われています。初心者でも、下記のようなものは比較的早い段階で作れるようになります。
・SNS・マッチングアプリ
・WebAPI
・スクレイピング
・ECサイト
・業務システム
SNS・マッチングアプリ
Rubyを活用すれば、SNS・マッチングアプリなどのアプリを開発できます。
実際、現存する多くのSNSにRubyが採用されています。この理由は、Ruby on railsというフレームワークを使えば、下記の機能を簡単に実装できるためです。
・ユーザー登録
・ログイン機能
・テキストや画像の投稿
大手プログラミングスクールや学習ツールでは、実際に簡易的なSNSを作成するケースもあるほどです。
経験が浅くても高機能なSNSを開発できることから、自社でアプリ開発したい企業やスタートアップ企業から人気です。
WebAPI
異なるソフトやサービス同士で、情報をやり取りするためのAPI(Application Programming Interface)も開発できます。
APIを開発すると、あるソフトやサービスが管理している情報を、別のソフトやサービスに呼び出すことが可能です。例えば、ECサイトで管理している購入履歴やお問い合わせ一覧の情報を顧客管理システムに呼び出すことで、行動履歴に基づいた顧客分析が可能になります。
APIのデータ連携によって、多くのシステムが接続・運用されているため、アプリ開発に欠かせません。
スクレイピング
スクレイピングを活用して、自動でデータを操作する仕組みも開発できます。
スクレイピングとは、Web上の情報を自動で取得・加工して、新たな情報を作り出す技術のことです。
例えば、ニュースサイトの見出し情報を一覧にしたり、商品データを価格表一覧にしたりと、手動で行っていたデータの操作を自動化できる技術です。
ECサイト
Rubyを使えば下記機能を搭載できるため、ECサイトも構築できます。
・ログイン機能
・顧客情報登録機能
・決済機能
・カート機能
すべてをゼロからRubyで構築するのはハードルが高いものの、すでに作られた枠組みを活用すれば、比較的簡単に実装できます。例えば、Ruby on Railsパッケージの「Solidus」やAPIの「pay.jp」などを使用すれば、初心者でも実装しやすくなります。
なお、Solidusは、Ruby on Railsをベースにした無料で公開されているECプラットフォームです。商品の管理、注文処理、決済、配送、在庫管理などの機能を細かく調整できます。
pay.jpは、日本国内向けのオンライン決済サービスを提供するAPIです。Webサイトやアプリケーションに統合することで、クレジットカード決済を簡単に導入できます。
業務システム
業務効率化を図るため下記のような機能がある、業務システムの開発にもRubyが使われます。
・勤怠管理システム
・入退室管理システム
・スケジュール共有システム
基本的なシステムだけでなく、会社独自の機能も追加できるため、業務に合ったシステムを導入できます。
また、システムの保守性が高く機能拡張や仕様変更を簡単に行えるため、業務形態の変化に対応しやすいのも利点です。
Ruby初心者のための基礎知識
Rubyで何が作れるかわかったところで、基礎的な知識を押さえておきましょう。あらかじめ知っておくと、学習の理解が深まるはずです。
環境構築
Rubyを使用するには、まず環境構築を行う必要があります。
環境構築とは、人間が理解できるプログラミング言語から、コンピューターが理解できる機械語への変換に、必要な道具をPC上に設ける作業のことです。
まだプログラミングの準備段階ですが、初心者がつまずきやすい部分です。OSによって環境構築の手順が異なったり、IDE(※)やエディタ(※)の設定などの技術的な要素が加わったりするため、初心者は一度に多くの情報を理解しなければなりません。独学で行うのはハードルが高いものの、参考書を見ながらであれば比較的スムーズに進められます。
環境構築では、Rubyのバージョン管理が重要です。古いものはサポート対象外となりセキュリティ上のリスクがあるため、バージョンを確認して、必要に応じ切り替えることが大切です。
rbenvやRVMといったバージョン管理ツールを使用すれば、プロジェクトごとに異なるRubyのバージョンを簡単に切り替えられ便利です。
また、すぐに始められるIDE(※)やエディタ(※)を活用する方法もあり、効率的にRuby開発を行えます。Visual Studio CodeやRubyMineが有名です。
※IDE…プログラムの開発に必要な複数の機能が統合されたツール
※エディタ…コードの編集に特化したシンプルなツール
プログラムの基本構造
Rubyで開発を行うには、プログラムの基本構造を理解しておきましょう。
基本構造は下記3つしかなく、どのプログラミング言語にも共通しています。
・順次進行:上から順に処理がされていく
・条件分岐:条件によって処理が分かれる
・繰り返し:決まった回数もしくは条件まで処理を繰り返す
シンプルな3つを組み合わせることで、複雑なプログラムも構築できます。
ただし、プログラムを作成する際には「どのように処理を実行させるか」が肝心です。コンピューターはプログラムの手順通りに動作するので、処理手順(アルゴリズム)を考えて組み立てなくてはなりません。
文法
Rubyには日本語や英語のように文法があり、文法に従って記述する必要があります。
覚えておくべき文法としては、下記12個があげられます。
文法 | 特徴 |
変数 | ・名前を付けて、数字や文字などを一時記憶しておく名札のようなもの。
・小文字かアンダーバーで始まる、@で始まるなど、変数ごとに先頭の文字が決まっている。 |
文字列 | ・文字の並びのことで、基本的には変数とイコールで指定した文字列を代入すれば出力される。
・ダブルクォーテーションで囲うと文字列と定義される。 |
Hash(ハッシュ) | ・複数の要素を格納するために使用する。「キー」で任意の文字列を指定して「バリュー」で要素を指定する。
・商品名(キー)と値段(バリュー)など、2つの要素を関連付けたい際に便利。 |
条件分岐 | ・ある条件が成り立つか否かで、次に実行する処理を変える。
・a=1のときは足し算、a=2のときは引き算のように、条件ごとに違う動作を設定できる。 |
繰り返し処理 | ・決まった回数もしくは条件を満たしている間は、同じ処理を繰り返させる場合に使用する。
・100まで数えたい場合に、100個コードを書くのは非効率なので、1から100まで数えるように処理させる。 |
クラス | ・共通処理をまとめた設計図のようなもの。
・複数の数値があるだけでは、どのように動かすべきかわからないが、「足し算の手法の設計図(=クラス)」を渡せば、計算結果を表示してくれる。 |
モジュール | ・「処理」だけをまとめた部品やパーツのようなもの。
・別のファイルのプログラミングコードを、ほかのファイルでも使用できるため効率的に開発できる。 |
演算子 | ・コンピュータに対して演算を行わせる記号 |
正規表現 | ・指定条件に一致する複数の文字列を一つのパターンで表現できる。
・大量のデータから一致する文字列を検索したり、見つかった文字列を別の文字列に置換したりできる。 |
Time | ・現在時刻の取得や任意時刻の情報を取り出せる。 |
gem | ・Rubyのパッケージ(便利な機能をひとまとめにしたもの)のこと。 |
csv | ・データがカンマで区切られた拡張子が「.csv」のファイル。開発上でよく使われるデータ形式。 |
Ruby on Railsについて
Ruby on Railsとは、Rubyを使用して作られたフレームワークで、あらかじめ機能や骨組みがまとめられています。
すでに用意されたものを活用できるので、いちからプログラミングする必要がなく、少ないコードで簡単かつ短期間で開発できます。
またgemという「ライブラリ(実用的なプログラムの部品をまとめたもの)」が使えるのも特徴です。一度作られた機能を活用できるので、複雑な機能でも簡単に実装できます。
Ruby初心者におすすめの勉強方法
Ruby初心者におすすめの勉強方法は、何よりもまずは手を動かしてみることです。
そのうえで、書籍や学習サイトで勉強したりプログラミングスクールに通ったりするのがおすすめです。
まずは手を動かして覚える
知識だけ蓄えても身に付きにくいので、実際に手を動かしながら、学習していきましょう。
まずはRubyの文法や構造を確認して、自分の手でコードを書いてみて、どのように動くか試してみます。
いきなりゼロから始めるのは難しいので、Ruby on Railsのサンプルコードを写して、アプリを動かすのがおすすめです。
このときVSコード(Visual Studio Code)というソースコードエディタを使うのがおすすめです。初心者にとっても使いやすいシンプルなデザインなので、直感的な操作が可能です。また、公式でのサポートも豊富で、使い方やトラブルシューティングの情報が簡単に手に入ります。
ある程度理解が進んだら、メッセージ送信やログイン機能など、簡単な機能を追加してみましょう。
そのほか、写経なども有効です。写経とは、他の人が書いたコードを一行ずつ手で書き写して学ぶ方法のことを指します。コードの構造について理解を深めたり、きれいなコードの書き方を習得したりするのに役立ちます。
写経について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
「【プログラミング学習法】写経の効果とメリットを初心者向けに解説!」
RubyはWeb上に日本語の情報が多く出回っているため、わからないことがあっても調べやすく、独学でもある程度は習得しやすい言語です。
書籍で勉強する
書籍で勉強すると、体系的に知識を身に付けられます。
効率的に知識を蓄えて、実際に手を動かして定着させる流れになるので、下記のようなサンプルコードが記載されている本がおすすめです。
・『3ステップでしっかり学ぶ Ruby入門』:予習→実践→復習の3つのプロセスで、わかりやすくRubyの基礎をしっかり学べる
・『作りながら学ぶRuby入門 第2版』:サンプルを動かしながら文法を理解していくので、短期間でRubyプログラミング習得を目指せる
ただし、書籍を購入しても隅々まで暗記するのは時間がかかり非効率的なので、予習して実践したうえで、わからなかった部分を書籍で確認しましょう。
学習サイトを活用する
学習サイトを活用して、実際に手を動かしながら勉強していく方法もあります。
数多くのプログラミング言語の学習サイトがあり、Rubyを勉強できる学習サイトとしては下記のようなものがあります。
・一部無料で利用可:Progate、ドットインストール
・すべて無料で利用可:Let’sプログラミング、paizaラーニング
無料で利用できるサイトもあることから、低コストで学習できるのが魅力です。特に「続けられるか不安」という方は、まず無料の学習サイトで触ってみるのがおすすめです。
学習サイトと併用して書籍も購入すると、体系的に学べてスキルを獲得しやすくなります。
プログラミングスクールに通う
独学でも学習できますが、いち早く習得したいならプログラミングスクールがおすすめです。
独学では間違った知識を覚えてしまったり、わからない点が解決できず行き詰ったりするケースがよくあります。
プログラミングスクールであれば、講師や学生にすぐ質問できるので、行き詰って挫折したり無駄に時間を消費したりせず、サクサクと学習を進められます。
初心者向けにカリキュラムが組まれているため、着実に知識とスキルを身に付けられるのも魅力です。
プログラミングスクール「NINJA CODE」では、未経験からプロを目指すカリキュラムとサポート体制が整えられています。Rubyコースでは、タスク管理(ToDo)アプリ、SNSアプリ、掲示板アプリの作成を通じてRubyを学ぶことができます。学習動画の視聴とサポート期間が原則無期限なので、仕事や子育てで忙しい方でも自分のペースで学べます。
まとめ
RubyはSNSやECサイトなど、身近なアプリ・サービスに使用されている言語で、比較的初心者でも習得しやすいプログラミング言語です。
独学でも習得可能ですが、疑問点・不明点の解消が難しいため、最短でプロを目指すのであればプログラミングスクール「NINJA CODE」がおすすめです。無料メンター相談を行っているので、まずは気軽に応募してみてください。
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