ゲーム開発のためのエンジンで、世界で有名なゲームメーカーにも採用されている「Unity」
とはいえ、「名前は聞いたことがあるけど、Unityが具体的にどういうもので、どんなメリットがあるのかまでは知らない」という人も多いのではないでしょうか。
今回は、Unityの基礎知識や特徴、実際にUnityで開発されたゲーム作品についてご紹介します。
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Unityとは?
Unityとは、ユニテイ・テクノロジーズ社が開発した「ゲームエンジン」です。
ゲームエンジンと定義されていますが、ゲームらしいふるまいをする実行環境だけでなく、エディタや拡張機能などの開発環境や、様々なプラットフォーム(家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、モバイル、Webなど)で実行が可能なデータを1つのソースから作成(ビルド)する機能も有しているなど、多機能で拡張性のある統合開発プラットフォームとなっています。
このプラットフォームプログラムは、近年ゲーム業界でシェアを伸ばし続けており、遂には2014年、ゲームソフトの開発で使用されるプラットフォームとして、世界No.1を獲得した有名プログラムになりました。
ゲームエンジンとは?
ゲーム開発に必要なグラフィックの描画やサウンドの管理、コントローラーからの入力の処理といったゲームを開発する上で欠かせない基本機能をまとめて提供してくれるプログラムの事をゲームエンジンと言います。
Unityの特徴
マルチプラットフォームに対応
Unityを使用することで、Windows、Mac、Linuxなどのデスクトッププラットフォームだけでなく、iOS、Android、PlayStation、Xbox、Nintendo Switchなどのモバイルおよびゲームコンソールプラットフォームにもゲームを配信することができます。
このようなマルチプラットフォーム対応は、開発者が広範なユーザーにゲームを提供するための重要な要素となっています。
プログラミングなしでゲームが開発可能
Unityではプログラミングなしでゲームを開発することが可能です。
Unityエディタは、ドラッグ&ドロップやグラフィカルなインターフェースを使用してゲームオブジェクトやコンポーネントを設定し、スクリプトを書かずにゲームのロジックを実装することができます。これにより、プログラミング経験のない人やデザイナーが直感的にゲームを作成することができます。
2D/3D両方に対応
Unityは2Dおよび3Dの両方に対応しています。2Dゲームの場合、Unityは強力なスプライトシステムとアニメーションツールを提供しており、簡単にキャラクターや背景を作成することができます。
一方、3Dゲームでは、リアルな3Dモデルや物理エンジン、ライティングシステムなど、高度なグラフィックス機能を活用することができます。Unityの2D/3D両方への対応は、開発者にとって柔軟性とクリエイティビティを提供します。
以上がUnityの特徴の一部です。マルチプラットフォーム対応、プログラミングなしでのゲーム開発、2D/3D両方への対応といった機能は、Unityを使ってゲームを制作する際に非常に役立つものとなっています。
Unityで出来ること
ゲーム開発
Unityでは、2Dゲームや3Dゲームの制作が可能です。2Dゲームでは、サイドスクローリングのプラットフォーマーゲーム、パズルゲーム、シューティングゲームなどを作成することができます。3Dゲームでは、アクションゲーム、アドベンチャーゲーム、レーシングゲーム、シミュレーションゲームなど、リアルな3Dグラフィックスや物理エンジンを活用したさまざまなジャンルのゲームを制作することができます。
Unityは、さまざまなプラットフォームに対応しているため、ゲームをパソコン、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソールなど、さまざまなデバイスでプレイすることができます。また、Unityは豊富なライブラリやエコシステムを提供しており、ゲーム開発に必要な要素をサポートしています。
医療分野における利用
医療業界では、人間の体内の詳細な3Dモデルを用いて、手術の事前シミュレートを行っています。
具体的には、Unityで脳内の3Dモデルを作成し、脳動脈瘤手術のVRシミュレーターを構築。事前に高精度なシミュレーションを行うことで、手術に向けた戦略や検討の質が向上し、手術の成功率向上が期待されています。
建築設計分野における利用
建築業界では、建物の管理に「BIM(Building Information Modeling)」が使われます。
BIMとは、建物の設計・施工・維持管理という一連のライフサイクルから得られた情報を集約し、業務効率化やデザインの考案に役立てる手法です。このBIMで必要となる3D情報(BIMデータ)をUnityでリアルタイムに変換し、ごく短時間で3D空間を再現できるのです。
常に変化するBIMデータを瞬時に3D化するため、現実世界の変化が3D空間にリアルタイムに反映されるようになっています。
VRコンテンツ開発
Unityは、VR(Virtual Reality:仮想現実)コンテンツの開発にも使用されることがあります。VRは、ユーザーが没入感のある仮想の世界を体験するための技術であり、UnityはそのようなVR体験を作り出すための機能を提供しています。
Unityを使用してVRコンテンツを開発すると、ユーザーはVRヘッドセットを装着し、仮想の世界に入り込んでゲームや体験を楽しむことができます。Unityは主要なVRプラットフォームであるOculus Rift、HTC Vive、PlayStation VRなどに対応しており、それらのデバイスで実行できるVRコンテンツを制作することができます。
Unityで作られたゲーム
ポケモンGo
ポケモンGOは、ナイアンティックが開発したポケットモンスターを題材とする一作です。
リリースから1ヶ月でダウンロード数が1億3000万、売上高が20日間で1億ドルに達したことでギネス記録と認定され、ゲーム業界以外でも大きな話題となりました。
「ポケモンGO公式サイト」
ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君
日本の人気RPGシリーズ「ドラゴンクエスト」の8作目もUnityを使用して開発されました。
ドラゴンクエストシリーズは、どの作品にも多くのファンがいますが、本作は近年の人気投票でも上位に入るほど高い評価を得ています。
「ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君公式サイト」
Among Us
『Among Us!』は2018年にInnerSlothによってリリースされた、宇宙船を舞台とした「人狼ゲーム」要素が詰まったゲームです。ゲーム内での各々の発言・質問に耳を傾け、相手を信用したり疑ったりすることで、プレイヤーの役職を推測しながらチームの勝利を目指していくことが醍醐味のこのゲームもUnityを用いて開発されました。
Unityを利用するメリット
様々なプラットフォームに対応している
Unityは、さまざまなプラットフォームでのゲーム開発に対応しています。
Windows、Mac、Linuxだけでなく、iOSやAndroid、ゲーム機のプラットフォーム(PlayStation、Xboxなど)にも対応しています。これにより、開発者は1つのプロジェクトで複数のプラットフォームに対応したゲームを作成することができます。
インタラクティブ
Unityは、インタラクティブなゲーム体験を提供するために設計されています。
Unityの強力なエンジンとツールセットにより、豊富なアニメーション、物理エフェクト、サウンドエンジンなどを利用して、ゲーム内のオブジェクトやキャラクターがリアルに動作し、プレイヤーとのインタラクションを楽しむことができます。
将来性がある
Unityは、ゲーム開発業界で広く使用されており、将来性のあるプラットフォームとされています。
Unityの人気は順調に成長しており、新しい機能やアップデートが定期的にリリースされています。さらに、UnityはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)など、新たな技術やトレンドにも積極的に対応しており、将来的な需要に対応する能力を持っています。
プログラミングの知識が豊富でなくても開発が可能
Unityは、プログラミングの知識が豊富でない人でもゲーム開発を行うことができます。
Unityにはビジュアルスクリプティングツールが組み込まれており、ドラッグアンドドロップやノードベースのインターフェースを通じてゲームロジックを作成することができます。また、Unityのコミュニティやドキュメントも充実しており、初心者が学習するためのリソースが豊富に提供されています。
様々なプラットフォームへの対応、インタラクティブなゲーム体験、将来性のある開発プラットフォーム、そしてプログラミング知識の豊富さに関わらず開発が可能という点が、Unityの魅力となっています。
Unityの学習難易度は?
Unityの学習難易度は少し高いといえます。その理由を大きく3つ挙げます。
- 大規模なシステムに高機能なツール
- プログラミングの知識
- ゲーム開発の概念
大規模なシステムに高機能なツール
最も大きな理由がUnityというツールの高機能さゆえの問題です。
Unityはゲーム開発に関するあらゆる機能が詰め込まれた優れたツールで、3D/2Dの描画、サウンド再生などあらゆる開発が行える上に、PCやスマホ(iOS、Android共に)、PlayStation、Xbox 360やWiiまで、ほぼ全てのデバイスで動作するゲームが作れてしまいます。
そのため、大規模なシステムを組んでおり、操作性も複雑。機能が複雑すぎて初心者にはハードルが高くなりがちです。
プログラミングの知識
Unityを利用するメリットとして、プログラミングの知識が豊富でなくても開発が可能だと解説をしましたが、やはりどうしても複雑で高いレベルの開発を行うにはC#などのゲーム開発系プログラミング言語の知識が不可欠です。
特に、CubeやSphereなどのオブジェクトを動かすためには「スクリプト」という機能が使われますが、このスクリプトを組むためには、「C#」「JavaScript」「Boo」の3言語が必要となります。
ゲーム開発の概念
ゲーム開発には、オブジェクト指向プログラミング、物理エンジン、アニメーション、3Dグラフィックスなどの概念が関わってきます。これらの概念に慣れるためには時間と努力が必要です。
Unityについてのまとめ
Unityとは?という概念から、特徴や出来ることなどを解説しました。
大規模で高性能がゆえに、初心者にとって少しハードルが高いとも言えますが、今後の需要や活躍の場を考えるとチャレンジする価値は十分にあるでしょう。
これを機に、Unityを使って自分の好きなゲームを作成してみてください。