PCとネット環境があれば、個人でアプリ開発をすることが可能です。とはいえ、初めてのアプリ開発となると、何から手をつけたら良いのかわかりませんよね。今回は、個人でアプリを開発するために必要な準備や費用、公開までの手順について解説します。
アプリは個人で開発できる?
個人でもアプリの開発は可能です。PCとネット環境が整っていれば、すぐにでも開発をスタートすることができます。さらに、開発用のツールやフレームワークを活用すれば、ゼロからシステムを構築するよりも比較的簡単に始めることができます。
例えば、Android StudioやXcodeは、それぞれAndroidとiOSのアプリ開発に適したIDE(統合開発環境)(※1)です。IDEを使用すると、アプリ開発に必要な複数のソフトウェアを準備する必要がなくなり、プログラミングを楽に行うことができます。
また、React NativeやFlutterなどのクロスプラットフォームフレームワーク(※2)を利用すると、同じコードベースで複数のプラットフォーム向けにアプリを開発することができるため効率的です。
※1 IDE(統合開発環境)…ソフトウェア開発を効率的に行うために必要な機能を1つにまとめたもの
※2 クロスプラットフォームフレームワーク…単一のコードベースでiOS、Android、Windows、macOSなど複数のプラットフォーム向けにアプリケーションを開発できるフレームワークのこと
個人のアプリ開発にかかる費用
個人でアプリを開発する場合、何にいくらかかるのでしょうか。代表的な費用項目は下記の通りです。
PC | 10万円~20万円程度 |
開発環境(ツールやソフトウェア) | 年間数千円~数万円
※無料のものもあり |
素材(画像、音楽など) | 数百円~数万円 |
サーバー | 月額数百円~数千円 |
アプリ開発に必要なプログラミング言語
アプリ開発を始めるためには、適切なプログラミング言語を選ぶことが重要です。アプリの種類や目的によって最適な言語が異なるため、まずは基本的な言語を理解しましょう。ここでは、iPhoneアプリとAndroidアプリの開発に必要なプログラミング言語について解説します。
iPhoneアプリ開発に必要な言語 | Androidアプリ開発に必要な言語 |
・Swift | ・Kotlin
・Java |
iPhoneアプリの場合
iPhoneアプリを開発する際に、よく使用されるのがSwiftです。
Swift
SwiftはAppleが開発したプログラミング言語で、iOSアプリの開発に最適です。Swiftの特徴として、シンプルで読みやすいコード、強力な型安全性、そして高いパフォーマンスがあげられます。
さらに、Appleが提供する豊富なドキュメントとサポートにより、初心者でも学びやすい環境が整っています。Swiftを習得することで、iPhoneやiPad、さらにはApple WatchやApple TVのアプリ開発が可能です。
なお、Appleが作った言語であるため、WindowsよりもMacを使用するほうが効率良く開発できます。
Androidアプリの場合
iPhoneアプリを開発する際は、主にKotlinやJavaを使用します。
Kotlin
Kotlinは、Googleが公式に推奨するAndroidアプリ開発のためのプログラミング言語です。KotlinはJavaとの互換性が高く、既存のJavaコードと併用することができます。
また、簡潔で読みやすいコードが特徴で、エラーの少ない開発が可能です。Kotlinの導入により、コードの保守性が向上し、開発速度もアップします。
Java
Javaは、長い歴史をもつプログラミング言語で、Androidアプリ開発においても広く使用されています。豊富なライブラリとフレームワークをもち、さまざまな開発ニーズに対応可能です。
また、オブジェクト指向プログラミング(データとそれに関連する操作を「オブジェクト」としてまとめて扱う)を採用しており、コードの再利用性を高めることができます。
Android開発においてJavaの知識は、特に既存のプロジェクトのメンテナンスや拡張に役立ちます。
アプリ開発で準備するもの
アプリ開発のために必要な機材や、ソフトウェアについて解説します。
PC
アプリ開発には、使用するプラットフォームに応じたPCが必要です。iPhoneアプリを開発する場合は、Macが適しています。iOS開発に必要なXcodeがmacOSでしか動作しないためです。一方、Androidアプリの開発には、WindowsまたはMacのどちらでも対応可能です。Android Studioを使用することで、どちらのOSでも開発が行えます。
スマートフォンアプリ開発環境
スマートフォンアプリの開発環境には、それぞれのプラットフォームに特化したツールが必要です。iPhoneアプリの開発にはXcodeを使用し、Androidアプリの開発には、Googleが提供するAndroid Studioが必要です。
スマートフォン
開発したアプリが実際に動作するかどうかを確認するために、テスト用のスマートフォンが必要です。特に、アプリのUI(※)や操作性をチェックするためには、実機でのテストが重要です。iPhoneアプリの場合はiPhoneを、Androidアプリの場合はAndroidを用意しましょう。また、片方しか持っておらず、新しいスマートフォンを入手するのが困難な場合は、チェック時のみ家族や友人に協力してもらうのもひとつの手です。
※UI(ユーザーインターフェース):ユーザーと製品やサービスとの接点のこと
素材
アプリの見た目や音響効果を充実させるためには、画像、イラスト、BGMなどの素材が必要です。これらの素材は、インターネット上の素材サイトから入手できます。ただし、商用利用が可能かどうかなど、利用規約をしっかり確認することが重要です。
また、自分でオリジナルの素材を作成することもひとつの手です。これにより、より個性的でオリジナリティ溢れるアプリを作ることができます。
個人でアプリを開発する手順
個人でアプリを開発する基本的な手順を解説します。
1.企画
アプリ開発の第一歩は、どのようなアプリを作るかを決めることです。まず、自分が解決したい問題や提供したいサービスを考え、そのアイデアを具体化しましょう。この段階では、下記の点を考慮します。
・アプリの目的、ターゲットユーザーを明確にする
・類似アプリの有無を確認し、競合との差別化ポイントを見つける
・ユーザーにとっての利便性や独自性を検討する
企画をより具体的にするには、自分の作りたいイメージに合ったアプリを分析するのもおすすめです。
このステップで企画のアイデアが固まれば、次の設計段階に進みます。
2.設計
企画が固まったら、アプリの設計を行います。設計はアプリ開発の基盤となる重要なステップです。この段階では上記で考えたアイデアをもとに、必要な機能や視覚的な要素を決めていきます。
・要件定義:このアプリで何がしたいのか、そのためにはどのような機能が必要なのかなどを洗い出し、決定します。外部設計と内部設計はこれに基づいて行われるため、漏れのないようにすることが重要です。
・外部設計:ユーザーが直接操作する部分をデザインします。例えば、ボタン配置や画面遷移などです。ユーザー体験を重視して設計を行います。
・内部設計:アプリの内部で動作するプログラムやデータ処理の仕組みを設計します。効率的なプログラム構成を考えることがポイントです。
これらの設計図を元に、実際の開発を進めていきます。
3.開発
設計が完了したら、いよいよ開発です。設計に従ってコーディングを進めます。設計図通りに機能するように、プログラムは一つひとつ丁寧に書き上げます。
将来的なアップデートやメンテナンスを考慮し、コード内にコメントを残す習慣をつけましょう。特に、関数やメソッドの引数や戻り値の意味を明記しておくと、後で見返した際に役立ちます。コードの品質を保つためにテストコードを書くことも忘れずに行いましょう。
4.テスト
開発が完了したら、テストを行います。テストはアプリの品質を保証するために欠かせないプロセスです。
まずは、不自然な挙動がないか確認しましょう。ユーザーの操作に対して正しく反応するかをテストします。次に、エラーメッセージが表示されないか、予期せぬクラッシュが発生しないかを確認しましょう。最後に、各機能が設計通りに動作するかを検証します。特に、重要な機能は複数回テストを行い、バグを徹底的に取り除きましょう。
このプロセスを経て、アプリの安定性と使いやすさが確認できたら、次は公開の準備に入ります。
5.公開
アプリが完成したら、いよいよ公開です。Google Play ConsoleやApple Developer Programにて登録申請を進めましょう。登録には開発者アカウントが必要です。審査結果が出るまでには、数日から1週間ほどかかることがあります。審査期間中に必要な修正があれば迅速に対応しましょう。
審査に合格すれば、アプリをリリースすることができます。リリース後は、ユーザーフィードバックを元に、必要に応じてアップデートを行っていきます。
個人のアプリ開発が難しいと思ったら
アプリ開発は、新しいものを生み出す楽しさだけでなく、収益化も可能な点が大きなメリットです。しかし、開発工程が多く、リリース後もメンテナンスが必要になるため、まったくの初心者から開発を始めるのは難しいかもしれません。
個人でアプリ開発をしたいけれど、必要なスキルを自分で身に付けられる自信がない方は、プログラミングスクールへの入学も検討しましょう。
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