プログラミング言語の中でも、多くの開発者から支持されるJava。その人気の理由は、汎用性の高さと安定性にあります。初めてプログラミングを学ぶ方にとっても、Javaは基礎から応用まで幅広く対応できる、おすすめの選択肢です。
今回は、Javaの基本的な特徴や利点、そしてどのように学習を進めるべきかについて詳しく解説します。
Javaとは?基本を解説
Javaは、プログラミング言語のひとつであり、C言語をベースに開発されました。特に、Googleが開発に用いる三大言語のひとつとしても知られています。そのほかの2つはC++とPythonです。
Javaの大きな特徴は、オブジェクト指向プログラミング言語であることです。
オブジェクト指向とは、プログラムを部品化し、それらの部品(オブジェクト)を組み合わせて1つのプログラムを作り上げるという考え方です。この方法により、再利用性や拡張性が高いプログラムを効率良く開発することができます。
Javaのもうひとつの重要な機能はJava仮想マシン(JVM)です。JVMは、プログラムが書かれたコードを各プラットフォームに合わせて適切に実行することを可能にします。開発された環境とは異なる環境でも、Javaで書かれたプログラムを同じように実行できるのがメリットです。
この特性は、「Write Once, Run Anywhere」(一度書けばどこでも実行可能)と表現され、Javaの大きな魅力のひとつとされています。
Javaはその汎用性から、スマートフォンのアプリから大規模な企業システム、さらには家電製品の制御など、幅広い分野で利用されています。
【活用事例】Javaで開発できるもの
Javaは多様な開発プロジェクトに適用可能なプログラミング言語です。その応用範囲は広く、業務システムからAndroidアプリ、Web(ウェブ)サイトのバックエンド、ゲーム開発、さらには家電の組み込みシステムまで、多岐にわたります。
業務システム
業務システムは企業の業務を効率化するためのシステムです。具体例としては、財務会計システム、在庫管理システム、労務管理システムなどがあります。
Javaは安定性、セキュリティ性の高さが高く評価されており、これらのシステム開発で広く使用されています。多くの企業がJavaを選ぶ理由は、システムの信頼性とメンテナンスの容易さにあります。
Androidアプリ
JavaはAndroidアプリ開発の主要な言語です。Javaには、Androidアプリ向けのライブラリ(※)やAPI(※)が豊富に用意されており、オブジェクト指向の特性と堅牢性の高さから、共同作業にも適しています。
そのため、電子商取引やAI搭載など複雑で大規模なアプリケーション開発にも最適です。Androidの開発者コミュニティでも、Javaは広く支持されています。
※ライブラリ…開発によく使われる機能をパッケージ化したもの。
※API…プログラムやアプリケーションの機能やデータを、外部のソフトウェアから簡単にアクセスして利用できるように設計されたインターフェースのこと。
Webサイトのバックエンド
Webサイトの開発には複数のプログラミング言語が使用されます。フロントエンドではHTML、CSS、JavaScriptなどが用いられ、バックエンドではJava、PHP、Rubyなどが使われます。フロントエンドはユーザーが直接触れる部分(Webページのデザインや登録フォーム)などの要素を指し、バックエンドはサーバーサイド(データベースの管理、サーバーの構成など)の技術を指します。
Javaはサーバー側の処理を担い、Webサイト全体のパフォーマンスを向上させる役割を果たします。
ゲーム
Javaはゲーム開発にも利用されており、スマホゲームや家庭用ゲームの開発に適しています。世界的に人気のある「Minecraft」もJavaで開発されました。
ただし、Javaにはゲーム開発専用の環境が整備されていません。そのためゲーム用のライブラリが豊富なC#などと比べて開発難易度が高いことがあります。
それでも多くの開発者がJavaを選ぶ理由は、プラットフォームに依存しない特徴や、オブジェクト指向であることから、効率の良い開発ができる点にあります。
家電の組み込みシステム
以前は「C++」が主流でしたが、最近ではJavaも家電の組み込みシステム開発に使われるようになりました。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、カーナビなどの家電製品の開発において、Javaの応用力が評価されています。
Javaの性能が向上したことやセキュリティが保ちやすいというメリットにより、家電業界でもJavaの利用が広がっています。
未経験者がJavaを習得するメリット
プログラミングに興味がある方にとって、Javaを学習することには多くのメリットがあります。Javaは幅広い分野で利用されており、スキルを身につけることでキャリアの選択肢が広がります。下記に、未経験者がJavaを習得するメリットを詳しく紹介します。
年収が高い
Javaエンジニアの平均年収は約550万円とされています。特に上流工程を担うことができるJavaエンジニアは高い年収を得ることができます。
スキルや経験によっては、年収が2,000万円を超える求人も存在するため、将来的な収入面での魅力があります。年収2,000万円を超えるには、上流工程の仕事を担える技術力、高いマネジメントスキル・コミュニケーションスキルなどが必要です。
求人数が多い
Javaは需要が高く、開発言語として選択されやすいため、求人数が多く存在します。2023年11月時点でのレバテックキャリアの調査によると、Javaの求人数はプログラミング言語の中でも圧倒的な1位を誇ります。2位のPHPと比較しても、約3倍近くの差があります。
Javaのスキルをもつ人材は、転職や就職がしやすい点も魅力です。
出典:レバテックキャリア「【2024年更新】プログラミング言語別求人案件数ランキング」
幅広い業界の案件に携われる
Javaは汎用性の高いプログラミング言語で、Webアプリケーションの開発やシステム開発、ソフトウェアツールの開発など多くの場面で使われます。そのため、Javaを習得することで、幅広い業界の案件に携わることができます。例えば、金融、医療、製造業など、さまざまな分野のプロジェクトに参画できる可能性が広がります。
学習環境が整っている
世界におけるJavaの利用人口は、英国の調査会社SlashDataによると940万人(2021年)です。
Javaは利用者が多く、日本語の参考記事や書籍も豊富に存在しています。そのため、自分で調べて学習しやすい環境が整っていることも魅力のひとつです。インターネット上にも多くのリソースがあるため、独学でも学び始めやすいといえるでしょう。
例えば、プログラミングの学習サイトやYouTubeの解説動画などがあります。
オブジェクト指向の基礎知識が身につく
Javaはオブジェクト指向プログラミング言語のひとつであり、オブジェクト指向の基礎知識を学ぶことができます。この知識はJava以外のプログラミング言語、例えばPython、Ruby、C#などにも応用可能です。Javaを学ぶことで、ほかの言語の習得も容易になります。
Javaの将来性は高い!
Javaは一部で「時代遅れ」と言われることもありますが、その将来性は非常に高いです。
まず、Javaは歴史が古く、長年にわたって多くの開発者に支持されてきたため、現在でも非常に人気があります。これに伴い、Javaを使用する求人も多く存在しており、スキルを持つ人材に対する需要は依然として高いです。
さらに、Javaは動作実績が多く、安定性が高い言語として知られています。このため、大企業や官公庁のシステム開発においても好まれやすいのです。特に企業の基幹システムなどのミッションクリティカルシステム(※)では、信頼性の高いJavaが採用されるケースが多く見られます。
また、Javaで組まれた既存システムの保守需要もあります。多くの企業が過去にJavaで開発したシステムを現在でも利用しており、これらのシステムのメンテナンスやアップデートが必要となるため、Javaエンジニアの需要は今後も続くと予測されます。
このように、Javaは安定性と実績に支えられて、将来性の高いプログラミング言語であると言えるでしょう。
※ミッションクリティカルシステム…そのシステムが停止または機能不全に陥ると、組織にとって重大な損害や影響をもたらす可能性のある、非常に重要なシステムを指します。このようなシステムは、通常、事業運営に不可欠であり、高い可用性、信頼性、安全性が求められます。(例:金融取引システム、電力供給システムなど)
未経験者がJavaを習得する際の注意点
未経験者がJavaを習得する際にはいくつかの注意点があります。特に、学習難易度や適した開発規模について理解することが重要です。
下記に、注意点について詳しく説明します。
学習難易度がやや高い
Javaの学習は構文がシンプルなPythonやRubyなどと比べてやや難易度が高いとされています。これは、Javaが多くのルールを持ち、エラーの検出が初心者には難しいためです。プログラミングに初めて触れる方にとっては、コードの構文やエラーメッセージに戸惑うことが多く、学習ハードルが高いと感じるかもしれません。
小規模開発に適していない
Javaは大規模なシステム開発には非常に適していますが、小規模なプロジェクトではその強みを活かすことが難しい場合があります。Javaは複雑な構造や高度な機能を持つため、小規模開発においてはほかの言語(Python、Ruby、JavaScriptなど)よりも効率が劣ることがあるのです。そのため、小規模なアプリケーションやシンプルなシステム開発には、ほかのプログラミング言語が選ばれることが多いです。
Javaを学ぶ際には、これらの点を考慮に入れながら、自身の学習スタイルやプロジェクトの規模に応じた計画を立てることが重要です。
未経験からJavaを習得する流れ
未経験からJavaを習得するためには、次のステップを踏むことが重要です。
1.Javaを習得する目的を明確化する
まず、自分がなぜJavaを学びたいのか、その目的を明確にしましょう。将来的にどのような開発をしたいのかを考えることで、学習のモチベーションを維持しやすくなります。
2.Javaの環境を構築する
次に、Javaの開発環境を整えます。これは、Java開発キット(JDK)や統合開発環境(IDE)(※)のインストールを含みます。多くの初心者がこの段階でつまずくことがあるため、公式サイトやチュートリアルを参考にしながら進めましょう。
※統合開発環境(IDE)…開発に必要なツールをひとつにまとめたもの。
3.Javaの基礎文法を覚える
Javaの基本的な文法を学びます。変数、データ型、演算子、条件文、ループ、メソッドなど、基本的な構文を理解することが必要です。
4.Javaのライブラリやフレームワークを学ぶ
Javaはライブラリやフレームワークが豊富です。これらを活用することで、開発効率を大幅にアップできます。代表的なものにはSpringやHibernateなどがあります。
・Spring
アプリ開発を容易にするフレームワークです。WebサイトやWebサービスを簡単に作れる仕組みがあります。データベース操作、セキュリティ、バッチ処理(※)など、さまざまな機能をサポートしています。
・Hibernate
Javaプログラムとデータベース間でのデータのやり取りを簡単にするフレームワークです。 Javaのコードだけでデータベース操作ができるため、複雑なSQL文を書く必要がなくなるのがメリットです。そのほか、データの保存、更新、削除、検索などの基本操作を簡単に行えるようにします。
※バッチ処理…一連のタスクやデータ処理をまとめて一括で実行することです。データの集計、レポート生成、大量のデータの移動や変換など、時間がかかる一括処理を効率的に行うために使用されます。
5.開発したいものに合わせて周辺知識を学ぶ
自分が開発したいアプリケーションに必要な周辺知識を学びます。例えば、Webアプリケーションを作りたいなら、サーバーサイドの知識やデータベースの知識が必要になります。
6.Java開発の流れを学ぶ
実際の開発フローを学びます。プロジェクトの設計、コーディング、テスト、デバッグ、デプロイまでの一連の流れを理解することが大切です。
7.Java開発を実践する
最後に、実際にJavaを使ってプロジェクトを作成します。初めは小さなプロジェクトから始めて、徐々に大きなプロジェクトに挑戦していきましょう。
ただし、Javaは独学だと挫折しやすい面があります。特に環境構築でつまずいたり、記述量の多さからエラーが発生しやすかったりするため、途中で諦めてしまう方も少なくありません。
Javaのスキルを確実に身に付けるには、プログラミングスクールでサポートを受けることがおすすめです。
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まとめ
Javaは、幅広い分野で利用される市場性の高いプログラミング言語です。業務システムやAndroidアプリ、Webサイトのバックエンド、ゲーム、家電の組み込みシステムなど、さまざまなプロジェクトで活用されています。利用者が多い言語だけに、独学者には心強い多彩な学習ツールが存在していますが、基礎から着実に学び、実践まで見通すにはプログラミングスクールでの習得がおすすめです。
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