Web(ウェブ)開発において、JavaScriptとTypeScriptは欠かせないプログラミング言語です。JavaScriptは動きのあるWebページを作成する際に広く使われてきました。一方、TypeScriptはJavaScriptを拡張し、大規模なプロジェクトで活用するために開発されました。今回は、JavaScriptとTypeScriptの違いについて詳しく解説します。
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JavaScriptについておさらい
ここでは、JavaScriptの基本について簡単におさらいしていきます。
JavaScriptとは
JavaScriptは、Webページに動きを加えるためのプログラミング言語です。例えば、ボタンをクリックした際にメニューが表示されたり、画像がスライドしたりといった動作は、JavaScriptによって実現されます。
特に、Webブラウザでの表現に特化しているため、ユーザーの操作を円滑に行うことができます。また、Webサイトの構造を定義するHTMLや、見た目を設定するCSSとあわせて使用されることが多く、それぞれを組み合わせることで、ユーザー体験を向上させます。
JavaScriptでできること
JavaScriptは、主にWebのクライアントサイド(ユーザーのWebブラウザ上で動作するプログラムのこと)開発において広く使われています。例えば、Webブラウザ上で動きのあるコンテンツを表示したり、ユーザーが操作した際に即座に反応を返す双方向のやり取りを実現したりすることが可能です。また、近年では、Node.js(※1)などを使用することで、サーバーサイド(サーバー上でWebページに必要な情報を送受信するプログラムのこと)でもJavaScriptを活用できるようになりました。
※1:サーバーサイドでJavaScriptを実行するための開発環境
TypeScriptとは?
TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセット(上位互換)として位置づけられている言語です。ここでは、その特徴についてみていきましょう。
TypeScriptが作られた背景
JavaScriptは、もともと型定義(各変数や関数に対し、もつべき型を定義すること)を行わない言語として設計されており、小規模な開発には最適な言語です。しかし、近年の大規模なWebアプリケーションの開発においては、JavaScriptでは変更が行われた際にその影響範囲をすべて検証する必要があり、時間がかかることが問題視されるようになりました。そこで、型定義を行うことでコードの安定性を確保し、保守作業を効率化できるTypeScriptが開発されたのです。
TypeScriptの特徴
TypeScriptの特徴をいくつか紹介します。
静的型付け(型定義)
TypeScriptは静的型付けを採用しており、これにより変数や関数の型をあらかじめ指定できます。静的型付けとは、コンパイル(ソースコードを機械語に変換すること)時に型をチェックする仕組みであり、エラーを早期に発見できるのが特徴です。一方、JavaScriptは動的型付けの言語であり、実行時に型を決定します。静的型付けは、特に大規模な開発においてバグを未然に防ぐ効果が期待されます。
クラスとインターフェースの定義が可能
TypeScriptでは、クラスとインターフェースを利用することができます。クラスは、コードをモジュール化(※2)し、再利用しやすい形式にします。また、インターフェースは、クラスやオブジェクト(※3)がもつべき形状を定義するものです。このような仕組みにより、TypeScriptは隙のない設計が可能となり、開発者が誤った使い方をするリスクを軽減します。
※2:プログラムを小さな部品(モジュール)に分けて作成する方法。コードが整理されて読みやすくなり、必要な部分だけを修正・再利用しやすくなる。
※3:プログラミングにおける「データ」と「そのデータに関連する操作」をひとまとめにしたもの。
基本構文はJavaScriptとほぼ同じ
TypeScriptの基本構文は、JavaScriptとほとんど同じであるため、JavaScriptを使い慣れている開発者にとっては移行が比較的スムーズです。JavaScriptの知識がそのまま活用できる点も、TypeScriptが広く採用されている理由のひとつです。
TypeScriptでできること
さらに、TypeScriptでできることを解説します。
Webアプリケーションのフロントエンド開発
TypeScriptは、主にWebアプリケーションのフロントエンド開発で利用されます。フロントエンドとは、ユーザーが直接操作する部分を指します。TypeScriptを使うことで、フロントエンドのコードがより安全で読みやすくなり、エラーの早期発見が可能になっています。
サーバーサイド開発
TypeScriptは、サーバーサイド開発でも使用されます。Node.jsと組み合わせて利用されることが多く、大規模なWebサービスやリアルタイムアプリケーションの開発においても活躍しています。
大規模なシステム開発
TypeScriptは、特に大規模なシステム開発に適しています。大規模な開発になるほど、保守性やコードの安全性が重要になりますが、TypeScriptの静的型付けやインターフェースを活用することで、開発チーム全体が効率良く作業できる環境を整えられます。
JavaScriptとTypeScriptとの違い
JavaScriptとTypeScriptの主な違いは下記の通りです。
JavaScript | TypeScript | |
型付け | 動的型付け | 静的型付け |
アクセス修飾子 | public・privateのみ | 左記+protected |
インターフェースの有無 | なし | あり |
それぞれ詳しく解説します。
型付け
JavaScriptは変数を使うときにデータの種類をあらかじめ決める必要がありません。変数にどんなデータを入れるかは、自動的に判断されます。
これにより柔軟なコードを書くことができる反面、型の不整合に起因するバグが発生することがあります。これに対して、TypeScriptは静的型付けを導入し、変数や関数のデータ型をあらかじめ指定する必要があります。これにより、開発段階でのエラー検出がしやすくなり、バグの発生を抑えることが可能です。特に大規模プロジェクトでは、型付けの有無がコードの品質に大きく影響します。
アクセス修飾子
JavaScriptやTypeScriptでは、アクセス修飾子(クラスがどこからアクセス可能かを指定する仕組み)を使えます。これにより、クラスの外部から不用意に内容を変更することを防ぐことができ、予期しないバグを減らすことが可能です。JavaScriptでは、現在public(※4)とprivate(※5)が導入されています。一方のTypeScriptでは、publicとprivateに加えて、protected(※6)も活用可能です。
※4:制限なくどこからでもアクセスできるようにする
※5:自身のクラスのみからアクセスできるようにする
※6:自身とサブクラスからアクセスできるようにする
インターフェースの有無
JavaScriptになくて、TypeScriptに備えられた機能として、インターフェースがあります。インターフェースを使用することで、クラスやオブジェクトがもつべきプロパティ(属性や状態)やメソッド(特定の処理をまとめたプログラムのこと)を事前に定義でき、コードの一貫性を保つことが可能です。そのため、TypeScriptのほうが複雑なシステム設計に適しています。
TypeScriptを習得するメリット
ここでは、TypeScriptを学ぶメリットを紹介します。
年々順調に人気を高めている言語
TypeScriptの人気は年々増加傾向にあります。Google上での検索回数も着実に増加しており、2017年にはGoogleがTypeScriptを社内の標準開発言語として採用するなど、その知名度はますます上がっています。さらに、TypeScriptは次世代のJavaScriptの最有力候補とされています。SOKUDANの調査によると、案件数もJavaScriptやPHP、Pythonに次ぐ4位の地位を確立しており、ますますの需要が見込まれる言語です。
出典:SOKUDAN Magazine ( https://magazine.sokudan.work )※出典メディア指定の出典形式に準拠
JavaScriptからの移行が容易
JavaScriptをすでに習得しているエンジニアにとって、TypeScriptへの移行は比較的容易です。TypeScriptの基本的な構文はJavaScriptに基づいており、JavaScriptを理解している人であれば、短期間でTypeScriptをマスターすることが可能です。これにより、開発の初期段階からプロジェクトにTypeScriptを導入するケースが増えています。
ライブラリやフレームワークに対応
TypeScriptは、主要なJavaScriptライブラリ(再利用可能なコードをまとめたもの)やフレームワーク(よく使われる機能を備えた枠組み)である「Angular」「Vue.js」「React」などに対応しています。これにより、JavaScriptのライブラリを使用しているプロジェクトにおいて、TypeScriptの導入がスムーズに行える点が評価されています。
JavaScriptとTypeScriptのどちらを習得すべきか迷ったら
プログラミング初心者にとって、JavaScriptは比較的学びやすい言語として広く知られています。動的型付けであり、柔軟性があるためです。一方で、TypeScriptは静的型付けを導入しているため、エラーを事前に防ぎやすい反面、より厳密なコードを書くことが求められます。
初心者はまずJavaScriptを学ぶことで、Web開発の基本や動的型付け言語の扱い方を理解することができます。その後、TypeScriptに進むことで、静的型付け言語の概念を学び、より大規模なプロジェクトに適した開発スタイルを身に付けることができるでしょう。
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まとめ
JavaScriptとTypeScriptは、どちらもWeb開発において広く使用されている言語ですが、用途や特徴には大きな違いがあります。JavaScriptは動的型付けの柔軟性をもち、主にクライアントサイドで使用される一方、TypeScriptは静的型付けを特徴とし、大規模なプロジェクトに適しています。特にTypeScriptは、エラーを事前に防ぎやすく、コードの可読性を高める点で優れています。Web開発の学習においては、まずJavaScriptを習得し、次にTypeScriptに進むことで、より高度なスキルを身に付けられるでしょう。
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