接客業に携わる方の中には、働き方や将来のキャリアについて悩む方も多いのではないでしょうか。収入面や体力面での課題、キャリアの展望が見えにくいなどの理由から、転職を検討するケースは少なくありません。今回は、接客業から異業種への転職を考える際に、身に付けておくと武器になるスキルや、おすすめの職種を紹介します。
接客業から異業種への転職を考える理由
接客業に従事している多くの方が異業種への転職を考える背景には、さまざまな課題や限界を感じている現状があります。ここでは、接客業からの転職を考える主な理由をあげ、その詳細を説明します。
理由1｜収入が低いうえ上がりにくいため
接客業の平均年収は、おおよそ340万円で他の業種に比べて低い傾向にあります。店舗の売上や業務内容が一定であることから、昇給の機会が限られている場合も少なくありません。
給与体系も固定的であり、個人の成果が報酬に反映されにくい仕組みとなっております。
理由2｜体力的にきついため
立ち仕事が多く、長時間の勤務や休日出勤が求められる場合も多いため、身体的に大きな負担がかかりがちです。忙しい時間帯や繁忙期には休憩を取ることもままならず、体力的な限界を感じて転職を考える方もいます。
加えて、年齢を重ねるごとに体力の低下を実感する人も多く、長く働き続けることを困難だと感じる方も見受けられます。
理由3｜売上ノルマが厳しいため
一部の接客業では、個人または店舗全体に売上ノルマが課されることがあります。ノルマを達成できないと、職場での立場が不安定になったり、精神的なプレッシャーを感じたりすることもあるでしょう。
また、従業員間でお客様の取り合いが発生するなど、職場内での人間関係にも影響を与える場合があります。ノルマの厳しさが退職理由の上位にあげられることも多いようです。
理由4｜クレーム対応にストレスを感じるため
接客業では、お客様からのクレーム対応が避けられない業務のひとつです。特に、理不尽な要求や怒りをぶつけられる状況に直面することが多く、ストレスに感じる方もいます。
理不尽なクレームが原因で精神的に消耗するケースもあります。
理由5｜土日に休みが取りづらいため
接客業の多くはシフト制であり、土日や祝日の勤務が一般的です。平日休みが中心となることから、家族や友人と過ごす時間を確保しにくい傾向にあります。
そのため、働き方を見直し、プライベートの充実を求めて転職を考える方が増えています。
理由6｜スキルアップを図りたいため
「手に職をつけたい」「専門的なスキルを身に付けたい」という思いから、異業種への転職を希望するケースもあります。一般的に接客業では、コミュニケーション能力や顧客対応力のスキルが身に付きます。
しかし、接客業で専門性の高いスキルを習得するには限界があると感じる方が多いようです。そのため、将来性を見据えて新たな職種を選びたいと考える方もいます。
理由7｜接客業に向いていないと感じるため
接客業にチャレンジしたものの、人見知りや臨機応変な対応が苦手など、自身の適性に合わないと感じ、転職を決意する方もいます。自分に向いていない仕事を続けていると、強いストレスを感じやすいものです。
結果として、キャリアへの展望を消極的に捉えてしまい、接客業から離れる人が一定数存在します。
接客業からの転職で武器になるスキル
接客業で培われたスキルは、他業界への転職においても高く評価されることが多くあります。コミュニケーション能力、ビジネスマナー、そしてマルチタスク能力といったスキルは、どの職種でも必要とされる重要な要素です。以下でそれぞれのスキルについて詳しく説明します。
スキル1｜コミュニケーション能力
接客業では、日々お客様と接することで優れたコミュニケーション能力が養われます。お客様の要望を正確に理解し、適切な商品やサービスを提案する能力は、多くの職種で必要とされるスキルです。
また、職場内でも円滑な業務遂行のためには、同僚や上司との良好なコミュニケーションが欠かせません。さまざまな立場の人々と適切にやり取りできるスキルは、転職時にもアピールポイントとなります。
スキル2｜ビジネスマナー
接客業で働くことで自然と身に付くビジネスマナーも、転職市場で大いに役立つスキルのひとつです。例えば、言葉遣いや礼儀作法は、多くの職場で重要視されます。
このスキルを活かせば、転職先でも迅速に信頼関係を築くことが可能です。接客業での経験は、社会人としての基礎力を十分に備えている証明にもなります。
スキル3｜マルチタスク能力
接客業の現場では、複数のタスクを同時に処理する場面が頻繁にあります。例えば、お客様の対応をしながら商品管理や簡単な事務作業を並行して行うことが日常的です。
マルチタスク能力は、どの職場でも必要とされるスキルです。また、接客業ではパソコンを使った基本的な事務処理を経験することもあり、ExcelやWordといったツールの操作スキルもさまざまな職場で活用できます。
接客業からの転職におすすめの職種4選
接客業からの転職を考える方に向けて、特におすすめの職種を4つご紹介します。それぞれの職種で接客業の経験を活かせるポイントや、転職時に知っておきたいメリット・デメリットもお伝えします。
職種1｜営業職
営業職は、顧客のニーズに合った商品やサービスを提案し、購入や契約につなげる仕事です。接客業で培ったコミュニケーション能力や、顧客の要望を汲み取るスキルは営業職においても大きな武器になります。
営業職にはさまざまな種類があり、例えば法人営業や個人営業、フィールドセールス、インサイドセールスなどがあります。不動産営業の場合、平均年収は約579.5万円で、成果次第で高収入を目指せるのが特徴です。
営業職のメリットは、成果を上げればインセンティブが支給されるため、やりがいや収入アップを実感しやすい点です。一方で、売上ノルマがあるため、精神的な負担を感じることもあります。
営業職に向いている人としては、自己主張が得意で、目標達成意識が高い人や、人と接するのが好きな人があげられます。
出典：jobtag｜厚生労働省「住宅・不動産営業」
職種2｜事務職・受付
事務職や受付は、接客業からの転職先として人気があります。接客業で培った電話応対スキルや、相手に寄り添う姿勢は、事務や受付業務でも役立ちます。
一般事務の平均年収は約510.9万円、受付事務は約321.6万円です。ノルマがないため、自分のペースで業務を進められる点がメリットです。ただし、未経験からの応募は競争率が高いため、基本的なPCスキルや資格を取得することで採用されやすくなるでしょう。
事務職や受付に向いている人としては、細かい作業を丁寧にこなせる人や、相手を気遣える性格の人があげられます。
出典：
jobtag｜厚生労働省「受付事務」
jobtag｜厚生労働省「一般事務」
職種3｜介護職
介護職は、高齢者や障がい者の日常生活を支える仕事です。接客業で身につけたコミュニケーション能力や、相手に寄り添う姿勢は介護現場で活かせます。
施設介護員の平均年収は約371.4万円ですが、処遇改善手当や資格手当があり、収入を増やすことも可能です。また、日本では高齢化が進み、介護人材が不足しているため、未経験でも採用されるチャンスがあります。
介護職のデメリットとしては、身体的な負担や精神的な負担が大きい点があげられます。一方で、人の役に立ちたいという気持ちを持つ方にはやりがいを感じられる職種です。
介護職に向いている人としては、忍耐力があり、相手の立場に立って考えられる人があげられます。
出典：jobtag｜厚生労働省「施設介護員」
職種4｜IT系職種
接客業からの転職先として、IT系職種も注目されています。IT系の職種は、技術的スキルとともにコミュニケーション能力が求められるため、接客経験が役立ちます。プロジェクトを進める際にチーム内外での連携が欠かせないためです。
IT系職種の平均年収は、プログラマーやシステムエンジニアの場合、約557.6万円です。スキルを磨くことでさらに高収入を目指せます。また、IT業界は日々成長しているため、未経験からでも挑戦しやすいのが特徴です。
IT系職種のメリットとしては、手に職をつけられる点や、自由な働き方が実現できる点があげられます。一方で、自己研鑽が求められるため、勉強が苦手な方が目指すのは難しいでしょう。
IT系職種に向いている人としては、論理的思考が得意で、新しい知識を積極的に吸収できる人があげられます。
出典：
jobtag｜厚生労働省「プログラマー」
jobtag｜厚生労働省「システムエンジニア（Webサイト開発）」
関連記事：「【分野別】IT業界の主な職種を紹介！転職成功のポイント」
まとめ
接客業から異業種へ転職する際に、役立つスキルやおすすめの分野を紹介しました。接客業で培ったコミュニケーション能力やビジネスマナー、マルチタスク能力は他業種でも活かせます。営業職、事務職、介護職、IT系の職種がおすすめです。自分のキャリアを見直し、新たな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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