Pythonは、スマホアプリ開発に役立つプログラミング言語で、AndroidとiOSの両方に対応するアプリを作成できます。また、初心者でも扱いやすく、スマホアプリ開発を学ぶのに最適です。今回は、Pythonでスマホアプリを開発するメリットとデメリット、さらに具体的な開発手順について詳しく解説します。
Pythonはスマホアプリの開発が可能!
Pythonは、1991年にオランダのプログラマー、グイド・ヴァンロッサムによって発表されたプログラミング言語です。現在も世界中の多くの開発者によって利用され、さまざまな分野で広く利用されています。その理由のひとつは、シンプルかつ読みやすい構文にあります。この特徴から初心者からプロまで幅広い層に支持されています。
用途としては、Web(ウェブ)アプリの開発だけでなく、スマホアプリの開発にも利用可能です。例えば、YouTubeやInstagramといった有名なサービスも、Pythonのフレームワーク(※1)であるDjangoを使って開発されています。このように、Pythonは実際のプロジェクトでも多くの実績があるプログラミング言語です。
Pythonの基本や使用用途についてより詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
Pythonとは何か?基本概念や使用用途について初心者向けに解説
※1:開発時によく使われる機能がまとめられたソフトウェアのこと
Pythonでスマホアプリを開発するメリット・デメリット
Pythonでスマホアプリを開発したいと考えている方は、Pythonのメリット・デメリットも把握しておきましょう。ここでは、Pythonを利用したスマホアプリ開発のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット
Pythonでのスマホアプリ開発には、下記のようなメリットがあります。
クロスプラットフォーム開発が可能
クロスプラットフォームとは、単一のソフトウェアアプリケーションが複数の異なるOSで動作する能力のことです。
プログラミングにおいて、クロスプラットフォーム対応は重要であり、これを実現することで、開発者はひとつのコードベースでWindows、macOS、Linux、iOS、Androidなどの複数のプラットフォームで動作するアプリケーションを作成できます。これにより開発の手間を大幅に削減可能です。
Pythonでは、KivyやBeeWareといったクロスプラットフォームに特化したフレームワークを活用することで、シンプルなコードで、迅速にクロスプラットフォームアプリを開発できます。
シンプルなプログラミング言語なので、初心者でも扱いやすい
Pythonは、シンプルな文法と記述量の少なさ、読みやすさで知られています。例えば、画面に「Hello World!」と表示させる場合のコードは下記の通りです。
このようなシンプルさから、プログラミング初心者でも比較的学習しやすく、スマホアプリ開発の入り口として最適です。
AIと連動できる
Pythonは、AIや機械学習の分野で広く使われている言語です。TensorFlowやKerasといったライブラリ(プログラムでよく使われる機能を再利用しやすくまとめたもの)を利用することで、自然言語処理や画像解析など、AI機能を組み込んだスマホアプリを開発できます。
デメリット
一方で、Pythonを利用したスマホアプリ開発には下記のようなデメリットもあります。
パフォーマンスの制約がある
Pythonは、コードを1行ずつ機械語に翻訳するインタプリタ型の言語のため、まとめて機械語に翻訳するコンパイル型の言語に比べて実行速度が遅い傾向があります。これにより、特に高度なパフォーマンスが要求されるアプリには不向きです。一方で、手軽にコードの確認や修正ができるため、デバッグ(ソフトウェアの不具合を見つけて修正すること)を頻繁に行うようなアプリには適しています。
日本語情報が少ない
Pythonのライブラリやフレームワークは充実していますが、日本語の情報はまだ少ないのが現状です。そのため、英語が得意でない開発者にとっては、情報収集に時間がかかる場合があります。
Pythonでスマホアプリを開発する手順
その柔軟性と使いやすさから、Pythonはスマホアプリ開発にも利用されています。ここでは、Pythonを利用したスマホアプリ開発の手順を詳しく説明します。
1.要件定義
アプリ開発の最初のステップは要件定義です。ユーザーのニーズを考え、アプリのデザインや機能を決定します。また、市場分析を行い、競合との差別化を図ることも重要です。予算や開発時間を決め、開発効率を上げるために入念な計画を立てる必要があります。
下記は要件定義で決める項目例です。
・開発目的
・アプリのコンセプトやジャンル
・想定ターゲット
・必要な機能
・開発スケジュールや進め方 など
2.開発環境の構築
Pythonを利用してスマホアプリを開発するためには、まず開発環境の構築が必要になります。手順は下記の通りです。
1.Pythonをインストールする。
2.統合開発環境(IDE)をインストールする。
3. KivyやBeeWareなど、フレームワークをセットアップする。
統合開発環境(IDE)とは、開発に必要なツールやライブラリがひとつにまとめられたソフトウエアであり、Anacondaが特に利用されています。
Kivyはオープンソースライブラリで、ひとつのコードでiOSとAndroid両方の開発ができます。また、BeeWareはネイティブアプリ(※2)開発のためのフレームワークで、Android、iOS、Linux、macOS、Windowsなどに対応しています。
さらに、スマホアプリにプログラムを対応させるためのラッパーも必要です。ラッパーとは、ある環境向けに提供されたプログラムを別の環境で使用できるようにするもので、iOSではXcode、AndroidではBuildozerが代表的です。
※2:端末にダウンロードして利用するアプリケーション
3.機能設計
ワイヤーフレーム(Webサイトの設計図)やフローチャートを作成し、UI/UXのレイアウトや具体的な機能を明確にします。UIとはWebサービス上でユーザーの目に触れるものを指し、UXとはサービスを通じてユーザーが得られる体験のことです。また、この工程ではユーザーデータの扱い方も厳密に計画する必要があります。
4.開発
機能設計をもとに、実際にコーディングを行います。フレームワークを使用して、UIを構築し、計画通りにアプリを開発していきます。
5.テスト
開発が一段落したら、テストを行います。バグや改善点がないかを確認し、さまざまなデバイスやOSバージョンで動作を確認しましょう。実機やエミュレーター(模倣ソフトウェア)を使って徹底的にテストを行います。
6.リリース
最後に、スマホアプリをリリースします。iOSアプリの場合はApp Store ConnectからApp Storeに配信の申請を行い、Androidアプリの場合はGoogle Play ConsoleからGoogle Play Storeに申請を行います。
Pythonの基礎から学んで本格的な開発をしたいなら
Pythonは、シンプルかつ読みやすい構文をもち、初心者からプロまで幅広い層に支持されているプログラミング言語です。
その柔軟性により、スマホアプリだけでなく、WebアプリケーションやPCゲーム、自動化プログラムなど、さまざまなアプリケーションの開発が可能です。その柔軟性と多用途性は、他のプログラミング言語に勝るとも劣りません。
Pythonでのアプリ開発は、クロスプラットフォームに対応し、iOSやAndroidの両方で動作するアプリを一度に作成できます。ただし、パフォーマンス面での制約や日本語情報の不足などのデメリットもあります。これらのポイントを理解し、自身のプロジェクトに最適な言語とフレームワークを選んだ上で、本格的なアプリ開発に挑戦しましょう。
Pythonを基礎から学び、本格的な開発を目指したい方は、NINJA CODEでプログラミングを1から学んでみてはいかがでしょうか。中でもPythonスクールでは、タスク管理アプリや、自動化ツール(WEBスクレイピング)などの開発を通じて、Pythonを体系的に学べます。気になる方はお気軽にお問い合わせください。
まとめ
Pythonは、スマホアプリの開発が可能であり、読みやすくシンプルであるため、初心者でも取り組みやすいプログラミング言語です。
Ptyonでスマホアプリ開発をする場合は、メリットもあればデメリットもあるため、それらを踏まえた上で、正しい手順でPtyonでのスマホアプリ開発を行うことが重要です。