プログラミングスキルを身に付けることは、自分の市場価値を上げるのに役立ちます。しかし、需要が高いプログラミング言語を習得しないと、案件が獲得できなかったり将来的に需要がなくなったりする可能性があります。
また、プログラミング言語のひとつであるPythonの習得を考えているけれども、「この先やっていけるのだろうか」と不安を感じる方もいるでしょう。
そこで今回は、Pythonの将来性や市場価値、これからPythonを習得するメリットなどについて解説します。
Pythonのシェア率・市場規模
オランダのTIOBE Software発表のTIOBEインデックスによると、Pythonは世界で最もシェア率が高いプログラミング言語とされています。
2021年1月時点では3位に位置していましたが徐々に人気が上がり、2021年10月にはそれまで人気が高かったC言語・C++言語・Javaを抑えて初の1位になりました。
その後も高いシェア率を維持しており、2024年6月発表のTIOBEインデックスでもPythonが1位を獲得しています。
また、米国の調査会社「Emergen Research」は、2022年発行のレポートにて世界のPython市場規模は2030年に1億600万米ドル、日本円にして約170億6,000万円(2024年7月時点)に到達すると予想しています。
出典:
TIOBE Software「TIOBE Index for June 2024」
Marketysers Global Consulting LLP「パイソン市場」
Pythonの将来性は高い!
世界的に高いシェア率を誇るPythonですが、今後もその人気が衰えることはなく将来性が期待できると考えられます。その理由を4つの視点から解説します。
理由1|データサイエンス市場が成長している
Pythonの将来性が高いと考えられる理由のひとつが、データサイエンス市場の成長です。Pythonは統計やデータ分析に強いプログラミング言語で、データサイエンス分野で高い需要があります。
データサイエンスとは、大量のデータから価値のあるデータを抽出・分析し、データを適切に分類したり予測を立てたりする学問です。企業の事業計画やマーケティング戦略などを立てる際にも活用できることから、ビジネスでの需要が高まっています。例えば、マーケティング戦略においては、Pyhtonを使ってテキストデータを解析する「自然言語処理(NLP)」が役立ちます。顧客からのレビューやSNSの投稿などを自動で分析し、ポジティブ・ネガティブな意見を分類すれば、製品やサービスに対する顧客の満足度を理解し、改善点を特定することが可能です。
それにともない、データサイエンスをビジネス課題の解決に活かすスキルをもつ、データサイエンティストを求める企業も増加しています。
データサイエンティストとして活躍するには、データ分析の能力やビジネススキルのほかにプログラミングスキルも必要です。そのため、統計やデータ分析に強いPythonを習得することで、需要が高まっているデータサイエンティストへの道が拓けます。
理由2|需要の高いAI開発や機械学習に適している
産業分野でのAI活用が広がるなか、より一層Pythonの需要も拡大すると考えられています。
PythonはAI開発や機械学習向けのライブラリ(※1)やフレームワーク(※2)が豊富で、開発の難易度を下げられるからです。
ITコンサルティング・調査会社のITRが発表した「ITR Market View:AI市場2021」によると、下記のAI主要8市場の国内売上金額は513億3,000万円とされています。
・機械学習プラットフォーム
・時系列データ分析
・検索・探索
・翻訳
・テキスト・マイニング/ナレッジ活用
・音声合成
・音声認識
・画像認識
今後もこれらのAI市場の売上金額は増加することが見込まれており、2025年度には1,200億円まで増えると予想されています。
当然、売上金額に比例してAIエンジニアの需要も高まるため、AI開発に強いPython習得者の活躍の場は広がっていくでしょう。
出典:株式会社アイ・ティ・アール「ITR Market View:AI市場2021」
※1:プログラムにおいてよく使われる機能を再利用しやすくまとめたもの
※2:開発においてよく用いられる機能を備えた骨組みのこと
理由3|国内のデータ解析/AI人材が不足している
近年、ビッグデータを活用したサービスやマーケティング、AI開発などに対応するために、多くの企業がPythonをデータ解析やAI開発に活用できるエンジニアを求めています。しかし、需要に対して供給が追いついておらず、人材不足が深刻化しています。
また、開発後はサービスやAIを運用保守できる人材が必要ですが、そちらも人手が足りていません。需要が高まっているにもかかわらず、Pythonを扱えるエンジニアが少ないことから、これからの将来性も期待できるといえます。
他言語と比較したPythonエンジニアの将来性
Pythonは将来性の高いプログラミング言語であることはわかったものの、他のプログラミング言語と比べた場合は、どうなるのかと気になる方もいるでしょう。
そこで「TIOBE Index」でPythonに続く人気言語である、Java、C言語、C++の3言語とPythonの将来性を比較してみます。
Javaは依然として需要が高いが学習難易度は比較的高い
OSの違いにかかわらず、動作できる安定性の高さと処理速度の速さが特徴的なJavaは、公共機関や金融機関、社内の業務システムなどに使われることが多いプログラミング言語です。対してPythonは、主にAI開発やビッグデータの分析などに用いられています。
どちらも需要が高いプログラミング言語ですが、Javaは複雑なコードが多く学習難易度が高めです。
一方で、Pythonは比較的初心者でも習得しやすく、AIなどの先端技術方面での伸びも期待できるため、Pythonのほうがより将来性が高いといえるかもしれません。
C言語は汎用性が高いが、学習難易度が高い
ハードウェア・家電製品・電子機器などの組み込みシステムや、アプリ開発に使用される機会が多いC言語は、汎用性の高いプログラミング言語です。
速度の速さにも定評があり、今後も長く需要が続くと思われますが、C言語は学習難易度が高いのがデメリットです。習得の難しさから、C言語以外の言語が採用されるケースもあります。
先述した通りPythonは比較的習得しやすく、AI開発やブロックチェーン技術といった先端技術を得意とする言語です。何を目指すかにもよりますが、これからプログラミングを学ぶ初心者の方であれば、Pythonのほうが挫折しにくく将来性も高いといえるでしょう。
C++は実行速度が速いが、学習難易度が高い
C++は、C言語にオブジェクト指向プログラミング(※3)などを取り入れ、機能を拡張・改良したプログラミング言語です。汎用性が高く処理速度も速いですが、やはり学習難易度が高いというデメリットがあります。
PythonはC++よりも速度は遅いものの、C言語やC++が向いていない分野で採用されるケースが多く案件獲得が期待できます。また、初心者でも習得しやすいので、将来性を考えるならPython習得を目指すと良いでしょう。
※3:処理を部品化し、それらを組み合わせることでプログラムを構築する手法
これからPythonを学ぶメリット
最後に、これからPythonを学ぼうとするときに知っておきたいPythonのメリットを紹介します。
学習難易度が低い
Pythonは学習難易度が低めで、初めて学ぶプログラミング言語にぴったりです。シンプルなコードで読みやすく、パッケージをダウンロードすれば開発環境が構築できるため、準備も容易です。
また、ライブラリやフレームワークが豊富なので、AIや機械学習などの分野でも一からコードを書く必要がありません。「とにかくプログラミングを始めてみたい」と考えている方なら、まずはPythonから始めてみると良いでしょう。
先端技術に携われる
AIや機械学習などの先端技術分野では、Pythonは圧倒的に将来性がある言語です。今後のキャリアを見据えてプログラミングの習得を目指しているなら、Pythonを学ぶメリットは大きいといえます。
ただし、PythonはJavaやC言語などと比べると処理速度が遅く、大規模なシステム開発には向きません。また、スマートフォンアプリ開発にはSwiftやKotolinなどが用いられるのが一般的であるため、Pythonでは案件の獲得に苦労することになります。
そのため、大規模なシステム開発やスマートフォンアプリ開発に携わりたいと考えている場合は、それらに合った言語を選びましょう。
まとめ
Pythonは世界的なシェア率1位の人気のプログラミング言語です。AIや機械学習などの先端技術に用いられることが多く学習難易度も低めなため、これからプログラミングを学ぶ方に向いています。
ただし、大規模なシステム開発やスマートフォンアプリ開発には向いていないため、将来的に何を作りたいのかを考えた上で習得する言語を選びましょう。
また、Pythonは学習難易度が低いといっても、プログラミング未経験だと途中で理解が難しい場面が出てくるかもしれません。効率良く学ぶなら、疑問点を講師に質問できるプログラミングスクールに通うのがおすすめです。
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