転職を機に年収が下がるのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。実際、転職によって年収が下がった人は約5割います。年収が下がることから、踏ん切りがつかなかったり家族に反対されたりする人も多くいます。
転職する人の年齢は30代が最も多く、全体の約半数を占めています。年齢が高くなるほどスキルや経験が不足した状態のまま、年収を下げずに転職するのは困難です。
今回は、転職によって年収が下がる原因や、年収を維持しやすい転職先の選び方について詳しく解説します。
出典:厚生労働省「⼤企業からスタートアップへの転職経験に関する調査」
転職で年収が下がる原因
転職において、年収が下がる可能性のある状況について解説します。年収に影響する要素を理解し、不安を減らした上で転職活動を進めましょう。
前職で時間外労働や夜勤が多かった
時間外労働や夜勤が多い職場では、残業代や割増賃金が支払われるため、年収が高くなる傾向があります。労働時間が短い企業へ転職すると、残業代や夜勤手当が減少し、年収が下がることが考えられます。残業代と割増賃金の基準として、以下のような比率があります。
・法定時間内残業:1時間当たりの賃金×1
・法定時間外労働:1時間当たりの賃金×1.25
・深夜残業:1時間当たりの賃金×1.5
転職先でのワークライフバランスを実現しやすくなる一方で、収入面での変動が生じます。そのため、求人広告の内容や面接時の質問で残業の有無や頻度を確認することが重要です。
関連記事:「休みが多くて給料がいい仕事9選!平均年収と休日の目安も公開」
未経験の業界に転職した
未経験の業界へ転職すると、即戦力として評価されにくいため、転職直後の給与が低く設定されることがあります。特に、未経験者や第二新卒の場合、年収400万円未満となるケースが多いとされています。ただし、経験を積み、業界内で成果を上げれば、昇給の可能性が高まります。
出典:一般社団法人 人材サービス産業協議会「転職賃金相場2017」
スキル不要の職種に転職した
スキルが不要とされる職種では、誰でもできる業務が多い上、応募者も集まりやすいため、相対的に給与が低くなる傾向にあります。下記のような業界では、平均年収が300万円を下回るケースが多いでしょう。
・宿泊業・飲食サービス業:257.6万円
・生活関連サービス業・娯楽業:268.2万円
・運輸業・郵便業:278.5万円
・医療・福祉:291.7万円
・製造業:294.9万円
・複合サービス事業:296.7万円
ただし、これらの業界内でも医師や看護師、美容師など、専門スキルが必要な職種においては高収入が期待できます。
出典:厚生労働省「産業別にみた賃金」
給与外手当が出ない企業に転職した
基本給が同じでも、給与外手当が支給されない場合、年収が下がることがあります。主な給与外手当として下記があります。
・時間外手当
・深夜残業手当
・休日出勤手当
・住宅手当
・家族手当
・役職手当
中小企業では、これらの手当が支給されない場合も多いため、転職先の諸手当についてしっかり確認しておくことが重要です。中小企業は人数が少ないため、個々の貢献が評価されやすく、昇進の機会が多い場合もあります。
転職で年収を下げないためのコツ
転職に伴い年収を下げないためには、現在の職場を辞める前にしっかりと準備をしておくことが大切です。ここでは、転職によって年収を下げないようにするためのコツを紹介します。
同業種・同職種を選ぶ
これまでの経験や知識を活かせる同業種・同職種での転職は、即戦力として評価されるため、年収が下がりにくい傾向にあります。同じ業界内でキャリアを積むことで、役職や給与アップのチャンスが増えることも期待できます。
内定後から内定承諾前のタイミングで給与交渉をすると効果的です。企業によってはオファー面談を設けている場合もあるため、条件交渉の機会を逃さないようにしましょう。
役職候補の求人に応募する
マネジメント職やリーダー職などの役職候補に応募することで、責任が増える反面、給与が上がる可能性が高くなります。前職で管理職経験がある場合、その実績をしっかりとアピールすることが重要です。
ただし、管理職の場合、役職手当がつく一方で、残業手当や休日手当が支給されないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
インセンティブや福利厚生の充実度で選ぶ
インセンティブやボーナス制度が充実している企業を選ぶと、大幅に年収が上がる可能性があります。インセンティブ制度があることで目標が明確になり、モチベーションの維持にもつながります。
インセンティブ制度を積極的に導入している業界としては、不動産業界、保険業界、人材業界、IT・通信業界などがあげられます。これらの業界を中心に求人情報をチェックしてみましょう。
スキルや資格を身に付けてから転職する
専門性が高いスキルや資格を保有していると、平均年収の高い業界への転職が実現しやすくなります。転職活動を始める前にスキルを磨き、資格を取得しておくことで、より高いポジションでの転職を目指せるでしょう。
未経験であっても、転職したい業界で求められるスキルや資格を事前に取得しておくことで、転職後の安定した収入につながる可能性が高まります。業界ごとに必要とされるスキルを把握して計画的に学びましょう。
転職後でも年収が下がりにくい業界
ここでは、転職後でも年収が下がりにくいとされる業界について紹介します。
金融業界
金融業界は業界全体として年収が高く、メガバンクでは平均年収が1,000万円を超えることもあります。経験や資格が重視され、実力が評価されやすいのが特徴です。ただし、未経験者で30代以上になると転職の難易度が上がる傾向があるため、業界での経験やスキルの豊富さが重要となります。
不動産業界
不動産業界では、成果報酬が主流で、実績を出した分だけ年収アップが期待できます。都市部では不動産取引が活発で、収入を増やしやすい環境が整っています。一方、地方部では人口減少に伴う空き家問題もあり、地域によって稼ぎやすさに差が生じることがあるため従事するエリアの選定も大切です。
外資系企業
外資系企業は日系企業と比べて年収が高めに設定されていることが多く、実力主義の文化が根付いています。スキル次第で年収アップを見込めます。インセンティブやボーナスが充実している企業も多いため、実績が年収に反映されやすいようです。
コンサルティング業界
コンサルティング業界は平均年収が高く、1,500万円を超える役職も珍しくありません。専門知識が求められるため、未経験からの転職が難しい側面があります。ただし、20代~30代前半であれば将来性を評価されて採用されるケースもあります。転職を通じて生涯年収のアップを期待できる業界です。
IT・テクノロジー業界
急速に成長しているIT・テクノロジー業界は人材不足が深刻で、エンジニアやWeb(ウェブ)デザイナーといった専門職の需要が高まっています。成果主義のため、プロジェクトの成功などが要因となって昇給することも多く、スキルがあれば未経験からでも採用される可能性があります。また、フリーランスとして業務委託で案件を獲得することも可能で、働き方の柔軟性も特徴です。
関連記事:「30代で未経験からエンジニアになるのは無理ではない!転職成功のコツを解説」
まとめ
転職により年収が下がる不安は多くの方が抱える悩みです。今回は、転職で年収が下がる要因を踏まえ、転職時に年収を下げないための対策や、年収を維持しやすい業界について詳しく解説しました。同業種・同職種での転職や、スキル・資格の取得は年収維持に効果的です。また、金融やITなど、実力や成果が給与に反映されやすい業界も視野に入れましょう。将来のキャリアアップを目指し、しっかり準備して理想の転職を実現しましょう。
異業種への転職や独立を希望する人には、ITなどの技術系業界がおすすめです。これからIT業界への転職を考える場合は、オンラインスクール「NINJACODE」でスキルを身に付けてみませんか。
「NINJACODE」では、未経験からプロを目指せるカリキュラムを提供しています。また、現役クリエイターがメンターとしてオンラインでの直接指導やキャリア相談も行っています。転職支援プランでは、転職先の紹介や面接対策、ポートフォリオの作成・添削支援も可能です。