アプリ開発を始めるには、基本的な知識を身に付けることが重要です。アプリには、ネイティブアプリ、Web(ウェブ)アプリ、ハイブリッドアプリの3種類があり、それぞれ異なる特徴をもちます。各特徴やメリット・デメリットを理解することで、自分に合った開発方法を選ぶことが可能です。
今回は、初心者でも取り組みやすいアプリ開発の基本的な手順と方法について解説します。
アプリ開発の基礎知識
アプリ開発を始める前に、まずは基本的な知識を身に付けましょう。アプリにはさまざまな種類があり、それぞれの特徴を理解することで、どのようなアプリを作るか、またそのために必要な技術やリソースが何かを明確にすることができます。
初心者の方は、開発コストや時間、対象となるプラットフォームを考慮した上で、適切なアプリを選択することが重要です。アプリ開発のプラットフォームについては、後述するアプリの種類別に紹介していますので、参考にしてください。
アプリの種類
アプリの種類別の特徴やメリット、デメリットは下記の通りです。
1. ネイティブアプリ
ネイティブアプリは、PCやスマートフォンなど、特定のデバイスにインストールして使用するアプリです。iOSやAndroidなど、プラットフォームに特化して開発されるため、パフォーマンスが高く、デバイス固有の機能(カメラ、GPSなど)をフルに活用できます。一方で、開発には時間とコストがかかる場合が多いです。
▼プラットフォーム
・iOS(Xcode、Swift):Appleのデバイス向けのアプリを開発するための環境
・Android(Android Studio、Java、Kotlin):Androidデバイス向けのアプリを開発するための環境
2. Webアプリ
Webアプリは、PCやスマートフォンのブラウザ上で動作するアプリです。デバイスに依存せず、どこでも利用できるのが特徴です。開発が比較的簡単で、更新も容易ですが、ネイティブアプリに比べて動作が遅くなる場合があります。
▼プラットフォーム
・Angular、React、Vue.js:Webアプリを開発できるJavaScriptフレームワーク
3. ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリは、ネイティブアプリとWebアプリの特徴を組み合わせたアプリです。端末にインストールされる点はネイティブアプリと同じですが、主要な機能やコンテンツはHTML、CSS、JavaScriptを使用して開発されます。比較的短期間での開発が可能ですが、性能面でネイティブアプリに劣ることもあります。具体的には、処理速度やデバイス機能へのアクセスのしやすさ、操作性の面に違いがあります。
▼プラットフォーム
・React Native:JavaScriptを用いてiOSとAndroidの両方で動作するアプリを開発できる環境
・Flutter(Dart):Googleが提供するフレームワークで、1つのコードベースからiOSとAndroidのアプリを開発できる環境
アプリ開発に必要な言語
アプリ開発で使用する言語を、アプリの種類別にまとめました。
・Android向けネイティブアプリ
・iOS向けネイティブアプリ
・Webアプリ/ハイブリッドアプリ
Webアプリやハイブリッドアプリの開発には、「HTML」「CSS」「JavaScript」が使われます。これらの言語はWeb開発の基本であり、汎用性が高く、初心者でも取り組みやすいです。ハイブリッドアプリの開発では、モバイルアプリケーションを開発するためのオープンソースフレームワーク(※)である「Apache Cordova」や「Ionic」といったフレームワークがよく使われます。
※オープンソースフレームワーク…ソフトウェア開発プロジェクトにおいて基本的な構造や骨組みを提供するツールで、一般公開されているもの
アプリの作り方
アプリの作り方には大きく分けて3通りの方法があります。それぞれの方法には、プログラミングスキルの有無や使用するツールの種類によって異なる特徴があります。
下記に、その詳細を説明します。
プログラミング言語で1から作る
プログラミング言語を使ってアプリを1から作成する方法の中で、特におすすめなのが「JavaScript」を使ったWebアプリ開発です。
JavaScriptはWeb開発でよく使用されるプログラミング言語であり、初心者にも習得しやすいのが特徴です。
JavaScriptを習得することで、変数、関数、オブジェクト指向など、多くのプログラミング言語に共通する基本的な概念を学べるため、プログラミングの基礎を固めるには最適な選択肢です。
アプリ開発ツールを使う
アプリ開発ツールを使う方法もあります。最近では、プログラミングをしなくてもアプリを作成できるノーコードツールが広く活用されています。ノーコードツールを使用することで、プログラミングの知識がなくてもアプリの開発が可能です。
例えば、「Adalo」や「Bubble」といった有名なノーコードツールは、ネット上に豊富な参考資料があり、初心者でも簡単に始められます。
なお、それぞれの特徴や機能は下記の通りです。
・Adalo
・Bubble
速く簡単にアプリを開発したい場合はノーコードツールが便利です。
ゲームエンジンを使う
ゲームエンジンを使ってアプリを作成する方法もあります。ゲームエンジンとは、ゲーム開発に特化したツールのことを指します。特に「Unity」や「Unreal Engine」が主流です。
それぞれの特徴は下記の通りです。
・Unity
・Unreal Engine
Unreal Engineであれば、プログラミング言語の知識がなくても手軽にゲームを作成することができます。ただし、本格的なゲームアプリを作成するためには、ある程度のプログラミングスキルが必要となります。
アプリの開発手順
アプリを作りたいと考えたとき、どのように進めればよいのか迷うことも多いでしょう。ここでは、アプリ開発の基本的な手順を8つのステップに分けて解説します。
なお、アプリ開発は個人で行うことも可能ですが、初心者では難しいことも多くあります。プログラミング、マーケティングなど多岐に渡るスキルが必要なほか、時間やエネルギーを多く使うため、リソースの限界を感じることがあるのです。
また、チームで開発するときに得られる多様な意見やフィードバックを得られないため、デザインや使いやすさの観点から盲点があっても気付きにくいこともあります。本格的なアプリ開発をしたい場合は、チームで開発することをおすすめします。
STEP1|作りたいアプリの明確化
まず、どのようなアプリを作りたいのかを明確にしましょう。アプリのジャンルやターゲットユーザーなど、事前に決めておくべきことは多岐に渡ります。
例えば、ゲームアプリでは下記のような内容を決めます。
ゲームのコンセプト | ジャンル | アクション、アドベンチャー、パズル、シミュレーション、ロールプレイングなど、どのジャンルのゲームを作るのか。 |
テーマ | ゲームの背景やストーリー、設定。キャラクターや世界観がどのようなものか。 | |
ターゲット | 年齢層 | ゲームを楽しむ対象の年齢層。 |
好み | ターゲットとなるユーザーがどのようなゲームを好むか。 | |
プラットフォーム | iOS、Android、PC、コンソールなど、どのプラットフォームでリリースするか。 | |
メカニクス | 操作方法 | タッチ操作、ジョイスティック、キーボード&マウスなど。 |
ゲームのルール | 勝利条件、敗北条件、プレイの流れなど。 | |
レベル | ゲームの進行に合わせたレベルやステージの設計。 |
そのアプリを使用するユーザーのニーズを考え、どのような価値を提供できるかを具体的にイメージしましょう。
STEP2|仕様書の作成
次に、アプリの骨組みとなる仕様書を作成します。仕様書は開発する際の指針となるため、効率的に進めるのに役立ちます。
仕様書には、STEP1で決定した内容も含めて、下記のような項目をまとめましょう。
・ターゲットユーザー
・想定する端末(PCやスマートフォンなど)
・画面のサイズ
・レイアウト(画像やボタンなどの位置)
・必要な機能 など
STEP3|基本設計
基本設計では、アプリがどのような主要な機能をもつのかという全体像を決めます。
具体的には、機能要件と非機能要件を明確にします。
・機能要件
アプリが果たすべき具体的な機能やタスクのことです。代表的な項目は下記の通りです。
2.データ入力:ユーザーがシステムに情報を入力するための機能です。
3.データ出力:システムが処理した情報やデータを、ユーザーに見やすい形で表示・提供する機能です。
4.検索機能:ユーザーがシステム内のデータや情報を迅速に見つけるための機能です。
5.通知機能:システムからユーザーに重要な情報やアラートを伝えるための機能です。
6.アクセス権管理:ユーザーごとにアクセスできる機能やデータを制限する機能です。囲みたい文章
・非機能要件
機能以外の品質や要求のことです。非機能要件の内容は多岐にわたりますが、例えば下記のような項目が挙げられます。
2.可用性:システムがどれだけ長時間、利用可能な状態を維持できるかを示します。
3.信頼性:システムがどれだけエラーなく正しく動作するかを表します。
4.セキュリティ:システムやデータが不正アクセスやサイバー攻撃から保護されているかどうかを指します。
5.スケーラビリティ:システムが、増加するユーザー数やデータ量に応じて、性能を維持しながら拡張できるかどうかを示します。
6.メンテナビリティ(保守性):システムがどれだけ簡単に保守・管理できるかを指します。
また、この段階で、必要な技術やリソースも見積もっておきましょう。
STEP4|詳細設計
詳細設計は、基本設計の段階で作成されたシステムの概要や要件を、具体的な実装レベルまで落とし込む作業です。アプリの動作に関する具体的な仕様を定めます。
主な内容は下記の通りです。
・インターフェース設計
画面上での表示内容(ボタン、テキストボックス、メニューなど)の配置や動作を決める。
・データ設計
データベースやデータ構造の設計を行います。
・処理設計
アプリケーションの各機能がどのように動作するか、具体的なアルゴリズムや処理フローを定義します。シーケンス図やフローチャートを用いて、プロセスの流れを視覚的に表現します。
・エラー処理と例外管理
エラーが発生した場合の処理方法や、例外的な状況にどう対応するかを計画します。
ユーザーが容易に理解できるエラーメッセージの設計も行います。
・セキュリティ設計
データの安全性を保つためのセキュリティ対策を詳細に計画します。暗号化、認証、アクセス制御の方法も含まれます。
・テスト設計
開発したアプリケーションが要件を満たしているかを検証するためのテスト計画を立てます。単体テスト、統合テスト、システムテスト、受け入れテストなど、各フェーズで確認する項目と方法を定義します。
STEP5|開発
詳細設計書をガイドラインとして、実際にコードを書き始めます。プログラミング言語やフレームワークを使用し、画像や音声データを準備します。
本格的な開発作業では、チーム全体で協力しながら進めていきます。
STEP6|テスト
アプリが設計通りに動作するかを確認するために、テストを行います。
テスト用の端末(iPhoneやAndroid)を使って、動作確認テスト・単体テスト・結合テスト・総合テストを実施します。
各テストは下記のように進め、バグやエラーを発見したら修正します。
システムやソフトウェアが基本的な機能を正しく実行できるかを確認する(2)単体テスト
プログラムの最小単位(関数やメソッドなど)が仕様通りに動作するかを確認する(3)結合テスト
複数の単体が組み合わさった際に正しく連携し、期待通りの機能を果たすかを検証する
(4)総合テスト
システム全体が統合された状態で、すべての機能が正常に動作し、要求仕様を満たしているかを確認する
STEP7|評価
テストが完了したら、開発したアプリが目標とする品質や機能を満たしているかを評価しましょう。
ユーザーの視点から、アプリの使いやすさやデザイン、機能性、パフォーマンスなどを検証し、必要に応じて修正を行います。
STEP8|リリース
評価が完了し、問題がないと判断されたら、アプリを一般公開します。アプリストア(Google PlayやApple App Store)のガイドラインに沿って適切に登録作業を行いましょう。
リリース後は、バグ修正やユーザーのフィードバックを基に、継続的にアプリを更新し続けることが重要です。
今の知識・スキルではアプリを作るのが難しいと感じたら
アプリ開発に特化した学習本や動画サイトは多くあるため、独学も不可能ではありません。独学のメリットは自分のペースで学習できる点です。
一方で、質問する相手がおらず、効率的な学習計画を立てることができないため、挫折する方が多いのも事実です。
アプリを作るまでのハードルが高いと感じたときは、スクールに通うことも検討しましょう。
スクールでは、効果的なカリキュラムを通じて、実践的なスキルを身に付けることができます。費用をかけて学ぶことで、モチベーションの維持にもつながります。
NINJACODEは、未経験からでもプロを目指せるカリキュラムと挫折させないサポート体制が強みです。
実践的なプロジェクト方式を採用しており、JavaScriptを使った英単語アプリ作成のカリキュラムなどがあります。受講生のニーズに合わせた3つのプランを用意しているため、やりたいことや将来のキャリアに合わせて必要なスキルを身に付けることが可能です。
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まとめ
アプリ開発は、多様なアプローチとツールを利用して進めることができます。ネイティブアプリ、Webアプリ、ハイブリッドアプリのそれぞれの特長を理解し、適切な開発手法を選ぶことが成功の鍵です。
また、具体的な開発手順を踏むことで、効率的かつ効果的にアプリを作成できます。初心者でも、NINJACODEのようなサポート体制が充実したオンラインスクールを利用すれば、確実にスキルを習得できるでしょう。